▼年下遅漏ワンコ×淫乱教師
年下遅漏ワンコ×淫乱教師
「青いシャツに黒のキャップ帽、青いシャツに黒のキャップ帽……」
夏、土曜日、駅前。行き交う人々の群れで暑苦しい。
僕は汗をぬぐいながら、目当ての人物を探す。
マッチングアプリで知り合った人と会うのは初めてだ。だからもし、青いシャツに黒のキャップ帽の彼が怖そうな人物だったら、こっそり逃げようと思っている。
顔も名前も知らない人に会うのだから、やはりそれなりに警戒しなくてはならない。
「あ……あの人だ」
僕と同じく、人を探してキョロキョロしている男がいた。青いシャツに黒のキャップ帽、間違いない。
通りすがりを装って、さりげなく顔をうかがってみる。
「え」
「あれ、先生? 雪野先生じゃないですか!」
すぐに視線を逸らすつもりだったが、目が合ってしまった。
沢渡はぱあっと目を輝かせ、僕の元まで駆けてきた。彼は生徒の頃からこんな感じで、僕を見かけるとなぜか走って近づいてくる。
「お久しぶりです! うわあ、卒業式以来ですね」
「う、うん、久しぶり。元気そうだな」
「はい!」
相変わらず犬みたいだ。懐かれて悪い気はしないが、まさか彼がマッチングアプリの相手でもないだろうし、今構っている時間はない。そろそろ待ち合わせ時間を過ぎてしまう。
いや、彼が相手なんてそんなわけ、ない……はずだ。青いシャツに黒のキャップ帽なんてありふれた格好だし、そういえば事前に聞いていた背格好や髪色も同じだが、いや、そんなわけないだろう。
卒業生とマッチングしてしまうなんて、そんな偶然は――――
「ところで先生、俺、人と待ち合わせしてて……」
「うん、僕も」
「その、待ち合わせの相手の服装が……今の先生と同じなんですけど」
まさか、まさかだ。
僕はピシリと硬直してしまった。アプリで仲良くなった相手が、まさか元生徒だなんて、まさか。
「もしかして、メスゆきさんですか。メスイキ潮吹きおもらし可能、本職は高校の古典教師の」
「なっ……え……あ、えぇ……っ!?」
「あの、俺……ちんちんサワーです」
「な、な、あ、あぇえ……!?」
彼が赤面しながら告げたプロフィールは、紛れもなく僕のものだった。
そして僕が探していた男のアカウント名は、ちんちんサワーで間違い無かった。
「とりあえず……ホテル、行きます?」
***
陸上部だった沢渡は、よく一人で走り込みをしていた。汗だくになっても走り続けるから、心配になった僕は、時折タオルやドリンクを差し入れしていたのだ。
おそらく、妙に懐かれているのはそのせいだろう。
「……夢みたい。先生とホテルの部屋にいる」
卒業式では、顧問でも担任でもなかった僕に花束までくれた。しかも真っ赤な薔薇がパンパンに詰められた立派なものを。
花のチョイスが情熱的すぎて、他の教師にドン引きされていたのを覚えている。
今の彼は、花束を渡してきたときと同じ、少し潤んだ目をしている。
「俺、先生の事が忘れられなくて……アプリで相手探す時、せめて先生に似た人が来るようにって、条件絞ったんです……教師とか、28歳とかで検索した」
「そ、そう、なんだ」
「メスゆきさんのプロフィールを見つけた時、もしかしてとは思ったけど……でも、まさか本人だなんて思わなかった」
僕も「巨根」で検索しまくった結果、たまたま住所が近くて会えそうだったちんちんサワーさんを見つけたが、まさか彼だとは思わなかった。
沢渡は緊張した面持ちでベッドに腰かけ、青いシャツを脱ぎ始める。
「先生は、なんで俺と会おうって思ってくれたの? 俺、あんまりプロフィールとか書いてなかったし、写真も設定してないから、怪しかったでしょ」
「そ、それは……」
「それは?」
ただ一言、巨根ですと書いていたからだ。プロフィールがその一言しか書かれていなくて、逆に妄想が膨らんだのだ。
どれだけ己の巨根に自信があるのだろう、と。それだけしか書かないという事は、きっとよっぽど巨根なのだろう、と。
「きょ、巨根……って、書いてたから」
もう何を隠しても無駄だろう。僕ことメスゆきのド淫乱プロフィールを見られてしまっている今、どんな弁明も意味がない。
「……っせんせい、えっちすぎ……です」
僕も服を脱がされる。すでに(色々な意味で)汗だくだった僕らは、共に風呂に入ることにした。
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