▼意地っ張りおばか総受け
わるい幼馴染×意地っ張りおばか
幼馴染のヒロくんは、ぼくのお尻をぺちんぺちん、撫でるように叩きながら言った。
「お前ってメスイキできる?」
「めす、いき……?」
「えっ知らねえの!? おま……っ高校三年にもなって、メスイキも知らねえの!?」
ヒロくんはぼくを馬鹿にして、ニヤニヤと目を細めた。
ぼくはムッとして、持っていたゲーム機を手放す。ヒロくんの部屋は広くて最新のゲームもあって、とてもいい場所なのだが、肝心のヒロくんは少々意地悪だ。
ぼくは彼のそういうところ、よくないと思っている。
「知ってるよ。めすいきでしょ」
「なんだ知ってんのか、当然、できるんだよな?」
「う、うん。当たり前だし。めすいきとか、小四でマスターしたよ」
「ふうん、じゃ、見せてくれよ」
「えっ」
どうしよう、本当は知らない。
めすいき、とはなんだ。小四でマスターしたのは自転車の乗り方であって、めすいきではない。
困ったぼくは、体調が悪いふりをした。俯いて、お腹をさすって、「うう」と言う。
意地悪だが根は優しいヒロくんは、「どした?」と背中を撫でてくれた。
「お、おなか……いたい。めすいきは、今は無理」
「そっか、腹が痛かったらメスイキは無理だよな、よしよし、おいで」
「ひ、ヒロくん?」
どうやらめすいきは、お腹が痛い時にはできないらしい。ラッキー、と思いながら、ヒロくんに言われるがまま、彼の膝の上に乗る。
「んひっ」
「おなか、温めてやろうな」
「んん……ひ、ひろくん、そ、そこは、あう……」
男らしく骨ばった手が、シャツの中に入ってきた。おへその周りをさすさす されている。
彼の手は徐々に下の方に移動し、パンツの中に。
おちんちんのすぐ上の部分を、さすさす、さすさす……
「んん、んん……」
「どした、痛いの治ってきたか?」
「う、うん…… もう、平気、あっ…… ヒロくん、そっちはおちんちん、あっ、おちんちんを、もみもみしないれ……」
「え? これおちんちんなの? 小さいからクリトリスだと思ったわ」
「く、くり……? 違うし、おちんちんだし」
クリなんちゃらとか、めすいきとか、ヒロくんは難しい言葉を知っている。なのに、幼馴染のぼくは物を知らない馬鹿だなんて、悔しいではないか。同じように育ってきたはずなのに、差があるなんて恥ずかしい。
だからぼくは、ついつい意地を張ってしまう。本当はめすいきなんて知らないのに、知ってる、できる、と言い張ってしまう。
「本当は知らないんだろ、メスイキ」
「う……そ、そんなこと、ないし……」
「仕方ねえな、教えてやるよ。大丈夫、お前がメスイキも知らなかった事、言いふらしたりしねえから」
「ヒロくん……うう、ヒロくん、心の友よ」
「だからお前も、誰にも言うなよ」
ぎゅっと抱きしめられて、彼の手が背中に回る。つつ、と背骨をなぞられると、ぞわぞわ してしまう。
「絶対、誰にも言うな。俺たち二人の秘密だ、いいな?」
***
「んっ んん、ん、ちゅ……」
「べろ、いっぱい出せ。いっぱい出した方が良いんだ、その方がメスイキできる」
「は、はふっ し、知ってた、知ってたよ、んぁ〜〜……」
「どっちだよ、知らないんだろ、はあ……っ」
僕はめすいきに関する知識を着々とつけていた。
まず、めすいきはお腹が痛いときには出来ない。そして、めすいきは、べろをいっぱい出してちゅうをする方がいい。
なるほど、よくわからない。けれど、やはり知っているふりをしたい。多少は知っている感を出したいのだ。
だから僕は、「めすいき、忘れていたけどだんだん思い出したよ」という体で、精一杯べろを出す。
「ん、んちゅ、ちゅ…… はふ、はふ……ふぅ、ん」
「おお、うまいうまい。さすがだな、すごいぞ」
「んん、ふふん…… 当たり前だよ、ぼく、めすいき、得意だし…… ちょっとド忘れしてただけ、だし」
「得意なんだ、すげえな、俺はメスイキできないんだよ。だから尊敬するわ」
ああ、どうしよう。褒められてつい、また嘘を重ねてしまった。
ちゅうをしすぎて、べろの感覚がなくなってきた。息も苦しい。それなのにヒロくんは、じゅる じゅる とえっちな音を立てて、僕の口の中を舐めてくる。べろをくちゅくちゅして、内頬をぺちぺちして、唇をはむはむして、歯をなぞってくる
「ん、はあーー……っ はあーーっ ヒロくん、く、苦し、くるひぃ……」
「んーー? 何言ってんだ、鼻で息したら大丈夫だろ」
「は、はふ、はふっ ん、そうらった、そうらったね、わ、わしゅれていたよ…… ふんっ、ふんっ……ふん、ふん……っ」
だめだ、鼻で息をするも何も、花粉症である僕は鼻が詰まっている。このシーズンはつらいのだ。
つまった鼻で無理に息をしようとすると、ぷしゅ、ぷしゅ、と間抜けな音が鳴る。だめだ、苦しい。顔がどんどん赤くなる。このままだと、頭の血管がショートしそうだ。
「ふーーっ ふーー……っ」
「ん、お、おい、顔真っ赤だぞ、大丈夫か」
「はへ……っ はぇ…… ら、らいりょうぶ……」
「ったく、意地っ張りめ」
口と口は離れたけれど、唾液の糸がつながっている。ヒロくんは最後にもう一度、ぼくの唇を軽く吸った。
その時、じゅるり と糸も吸ったようだ。なんだかこなれている仕草に、むかむかする。ぼくは息を切らしているのに、彼は余裕たっぷり。何だこの差は。悔しい。
でも、ヒロくんはめすいきができないと言っていた。だから、勝てるとしたらそこなのだ。
「はあ、はあ…… ん、じゃあ、そろそろ、めすいきしようかな」
「っ……うん、見せて。メスイキするところ」
「う、うん……めすいき、するよ。めすいき、めすいき……えっと、その……め、めすいき、だよね、えっと……」
どうしよう、どうしよう。まだ、めすいきに関する情報は不十分だ。
勉強もスポーツも一番のヒロくんができないほどだから、きっとすごく難しいのだろう。果たして、ぼくにできるのだろうか。急に不安になってきた。
「……めすいき、ぼく、ぼく……」
「はあ、はあ……なんだよ、やっぱり知らないんだろ、教えてやらねえと出来ねえのか? メスイキ……」
「ヒロくん、う、うう、ぼく……」
ヒロくんの目はなぜか血走っていた。どうしよう、ぼくがグズグズしているから怒ったのだろうか。彼は意地悪な部分こそあれど、怒る事はあまりない。そしてぼくは馬鹿だけど、ヒロくんについてはちょっとばかり詳しい。だてに幼馴染をやっていない。
そうだ。僕はヒロくんに詳しい。つまり、何をすれば彼が喜ぶのかも、知っているつもりだ。
生唾をごくりと飲み込む。僕は一か八か、賭けてみる事にした。
「めすいきは、ぼく一人じゃできない……だから、ヒロくん、手伝って……」
ヒロくんは頼られると喜ぶ。めんどくせえな、と言いつつ張り切って助けてくれるのだ。テスト勉強も、ゲームのボス戦も。
「っ……し、しかた、ねえなあ……」
よかった、笑ってくれた。それにしてもヒロくん、笑いすぎてよだれが垂れている。
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