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狡猾でひどい弟×人妻♂な兄2
自分たちのベッドの方が広いから、と兄さんは何のためらいもなしに寝そべった。
数時間前まで和洋さんと抱き合っていたベッドに、平気な顔して俺を誘うのだ。
「はあ……」
「大丈夫か? ほら、横になれよ。お兄ちゃんが頭ぽんぽんしてやろか?」
近づいてきた手首を掴んで、抱き寄せる。
シーツから香る兄さんの香りと、知らない男の香り。色々と思い知らされて、とにかくもう、我慢できる範囲を超えていた。
「和洋さんと、どんなセックスしてたの」
目を丸くする彼に馬乗りになって、「教えてよ、俺、童貞なんだよ」冗談めかして言えば、兄さんは耳を赤くして「えー」と恥じらう。
「なに、急に……お前下ネタとか、そういうキャラじゃなくね? 早く寝ろよ、具合悪いんだろ……あ、おい……ちょっと、何して、あ、あっ……」
「どこ触られた? てか、昨日兄さんたちがうるさくて全然眠れなかったんだけど」
「へっ……あ、だって、それは……お、俺は、声、出したくないって言ったけど、和くんが、なんかその、いつもより……激しく、してきて……っ圭、ちょっと、何だよお前、いってえな、手、離せって」
両手首を掴んだまま、彼の肩をベッドに押し付ける。ぐっと反らされた首は色白で、血管が透けて見えた。
青い血管を彩るように付けられたキスマークを睨み、「教えろよ、兄さん」低い声を出せば、兄さんはビクリと震え、目を瞑った。
「……素直に教えたら、殴ったりしないよ、親父みたいなことはしない」
「ほ……ほんと? でも、圭、何回か俺の事……い、痛い事、してきた……じゃんか……」
「あれは兄さんが俺の言うこと聞かなかったからだろ」
「ひっ……う、うん……わかった、言うからぁ……」
手の力を強くしたら、涙目になった兄さんは、おそるおそる口を開く。
「和くんは……いつも、最初、いっぱいチューしてくれて……」
太ももをもじもじと動かしながら、目線を斜め上に飛ばし、何かを思い出しながら話す仕草にイライラする。
無表情で見下ろすが、彼は俺の気持ちに気づくことなく、照れくさそうに続ける。
「……んで、チューが超長くて、まじしつけーの……でも、俺、それ好きで……いっぱい、口の中舐めてきて、犬みてーなんだよ、和くん。大人っぽくてしっかりしてそうだけど、俺の前ではワンちゃんで、嫉妬深いし、すぐ、なんか、なんか和くんさぁ、チューもそうだけどさ、俺の身体舐めんのまじ好きって感じでさあ……」
「で?」
「う、うん、そんでな、いっぱいキスして、そんで…… そこから先は、俺も分かんねーし…… ん……なんか、キスだけで、とろとろになっからさぁ…… もう、頭、ばかになってぇ……よくわかんねえまま、いっぱい気持ち良くしてくれんの…… だから、どんなエッチしてるかとか、聞かれても……答えられねえの……」
――――何だよ、その顔。俺に見せる慈愛の顔とは全然違う。いやらしく媚びたメスの顔……
天真爛漫で元気な兄さんの頬が、見た事のない桃色に染まっている。
「よく分からないってことは、印象に残らないつまんねーセックスしてるって事だね」
絞り出した言葉に、彼がムッとしたのが分かった。だから、更に捲し立てて言う。
「俺もつまらない映画はよく覚えてなくて、人に説明できないし」
兄さんは眉間に皺を寄せていたが、俺が舌打ちすれば、すぐに臆病な表情に戻った。
毛先の痛んだ髪を撫で、片手で顎を掴む。親指と人差し指でやわらかい頬を揉んで、こちらを向かせる。
「キスってのは、こうすんだよ」
震える唇に唾を吐きつけて、顎を掴む手に力を籠めた。
今にも泣きそうに歪む兄さんの顔。俺は舌をだらりと伸ばして、「舐めろよ」と目で伝えた。
「え……そ、そんな、俺ら兄弟だし……圭、なんで……」
「はやく」
「あっ……わ、わかった……やだ、叩くのはやだぁ………………ん……っぅ、ふ……んんっ……ん、あ……はあ、ぁ……ん、んぅ……っ」
俺の舌に吸い付いてくる兄さんの唇は、怖いくらいに柔らかい。薄い皮に噛みつけば、すぐに血が出るんだろうなと、沸騰しそうな頭で考える。
「あ……ん、ちゅぅ……っはあ、はあ……圭……こ、これで、いい……?」
「兄さん、すっごいゾクゾクしてるって顔……こういうの、和洋さんはしてくれないんだね」
「和くんは……っ、和くんは、すっごい、もっと、なんか……甘いっつうか……怖い事は、ぜってーしねーし…… 激しくても、やさしいし……」
「黙れよ、お前ドマゾだろうが」
「ひぅ……っ ん、んぅ”〜〜……っ ん、っはあ、はあ、や”、んっん、んぅううっ、んうう〜〜〜〜っ……」
目を開いたまま、喉同士でキスするつもりで深く口づける。ポケットの中には、ボイスレコーダーのアプリを起動させたスマートフォンがある。
「っぷは、はあーーーー……っ…… はあーー……っ 圭、ほんと、もおやめろって、いい加減に……っはあ、はあ、ん”ぅ あんまお兄ちゃんいじめんなよぉ……っ」
「ここでやめたら、兄さんまた、和洋さんと印象に残らねえつまんねえセックスするんだ? 物足りない毎日に戻るんだ?」
「う、うっせえし……っ和く、ん、との……っはあ、エッチ、俺、物足りなくねえもん、好きだもん……んぅう〜〜〜〜……っ っはあ、キスのあと、っはあ、手マン、手マンいっぱいしてくれて、っはあ、お、俺、気持ち良すぎて記憶飛んでるだけだもん、和くんちゃんと、手マン、いっぱい、んで、ハメハメも、いっぱい……っん、っはあ」
「手マンとかいらねえだろ、こんなグズグズのまんこ」
すっかり力の抜けた兄さんは、拘束を解いても動けやしないだろう。
服を脱がせても、「ひゃめろぉ…… ひゃめろよぉ……」「ハメろ?」「ちげーし…… や、やめりょぉ……」よだれを垂らしながら、弱々しい声で抵抗してくるだけだ。
「うっわ、だらしねえ縦割れまんこ……いらねえだろ、手マンとか」
「いるしっ 手マンいるしぃ…… まんこ、ほぐしてもらうしぃ……」
「どんな風に?」
太ももをツーとなぞれば、兄さんは条件反射なのか、慣れた様子ででM字開脚をした。
使い道のなさそうな短小ちんぽからは、うっすら白い我慢汁が垂れている。
「ん…… こうやってぇ…… 指、入れんだろぉ…… んで、最初、ゆっくり…… だんだん、激しくぅ…… 音、えっろい音、たてながらぁ……」
ヒクッ ヒクッ 自分の指をくわえて収縮するそこを、冷たい目で見下してやる。兄さんは「ん、くぅ…… 和くぅん…… 和くぅん…… まんこ、ほぐしてぇ…… っほぉ……」腰を揺らして惚けている姿は、本当に無様でどうしようもない。
俺がスマートフォンのカメラを向けても、気付くことなくまんこを弄っている。
濡れた内もも、へそが横に潰れている淫靡な腹、大きくだらしない乳輪、鎖骨のほくろ……順番に映して、とうとうそのメスくさい瞳にレンズが重なった。
「へっ……あ、あっ、おい、なに撮って、あ、あぁあん、んぁああ…… 消せよぉ……っ 圭、やだ、消せって、消せぇ……っ」
「これ、和洋さんに送るね。兄さんが、あんたとのセックスじゃ物足りなくてオナニーしてますって」
「やだ、ふざけんなしぃ……っ あ、あ、ひぃっ……う、ごめんなさい叩かないで、叩かないで……っぅ、うう、ひっく、う、圭、ひでえよぉ……なんで、なんで、こんなことぉ……う、うう……っ」
鼻水と涙もしっかりと映して、「じゃあさ」とやさしく語りかける。
彼は涙を拭ったりせず、頭を庇いながら泣く。昔からの癖だ。和洋さんに甘やかされてもなお、治る事のないその癖にホッとする。
彼は他人の妻♂じゃない。俺の知っている兄さんだ。俺のかわいい兄さんなのだ。
「俺の言うこと聞く? 俺の名前呼んで、俺のこと好きっていいながら抱かれてくれる?」
「……うん……」
「わかった、じゃあ動画は送らない」
――――いよいよだ……しかし兄さん、よく流されてくれるよな……
頭が弱いのは、俺や親父が兄さんを――いや、きっと元からだろう。
「でも、痛い事はするかも……ごめんね」
俺は兄さんの首筋に顔を埋めた。興奮して荒くなる息と、どうしても抑えきれない笑みを隠すために。
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