鬼道「揃ったな……では、皆の衆!番号!!」 円堂「1!」 豪炎寺「2!」 吹雪「3!」 名前か名字「……4」 鬼道「5!!というわけで、今日の議題は監督をいかにして殺害するかだ」 名前か名字「いやそれ違う」 緊急会議ですお兄様 鬼道「他に議論することなんてない。俺の春奈にたかる害虫は全て駆除する」 名前か名字「一応自分達の監督なんだから少しは自重しろ」 現在、深夜0時ちょっと過ぎ。なぜか俺の自室に、鬼道を筆頭にバカが四人もぞろぞろと入ってきやがった。理由は察しがつく。だからこそ、俺はため息をもらすしかなかった。 妹こそが全て!を座右の銘にしている鬼道が、この事態を許すはずがない。シスコンビで定評のある豪炎寺もしかりだ。 円堂と吹雪は見ずともわかる。こいつらは百パー楽しんでるな…間違いない。 鬼道「問題はどんな方法を使えばものすっごい苦しみを与えながら駆除できるかということだ」 名前か名字「話聞け。お前らの勝手で監督を殺すな」 豪炎寺「やはりここはあれだ、殺虫剤を目に」 吹雪「それじゃ死なないじゃないちょっと考えなよ。所詮は豪炎寺くんだよね」 豪炎寺「しくしく」 円堂「俺のマジン・ザ・ハンドで股間握りつぶしまくリーヨ!!」 吹雪「それもいいけど、全裸で屋上から吊り下げて放置プレイなんてどう?一夜明けた時は息絶えてると思うけど」 鬼道「さすがだな」 名前か名字「いやどこが?!」 考えることがおぞましすぎるあたり、さすが吹雪だとしか言いようがないけど!円堂は円堂で精神的にも肉体的にもえげつないし。我らがキャプテンがそんなんでいいのか甚だ疑問だ。 名前か名字「そうまでして妹の幸せぶっ壊したいのかよ」 鬼道「幸せじゃないもんんんん一生俺とにゃんにゃんするのが春奈な幸せだもんんんんん」 豪炎寺「名前か名字!!シスコンはデリケートなんだ!もっと丁重に扱ってくれ!」 名前か名字「知らねえよ鬼道のハート事情なんて」 吹雪「ガラス細工気取り?やめてよ、せいぜい玉ねぎと焼きそばじゃない。朝まで二人で冷蔵庫で待機してなよ」 豪炎寺「前から言いたかったんだが、俺お前にそんなに嫌われるようなことしたか?」 吹雪「生理的に存在を受け付けられない^^」 豪炎寺「辛辣!!!」 名前か名字「落ち着け豪炎寺、これも友情の裏返しだ!」 吹雪「…………友情?」 豪炎寺「めそめそ」 鬼道「春奈たんを監督に渡すくらいなら…いっそ全員道連れで心中を図る所存だ……ああ俺のスウィートシスターいつのまにそんな大人の階段をry」 円堂「そんなことよりサッカーしようぜ!!」 名前か名字「うるせええええ!!!時間を考えろボケ!!!!」 豪炎寺「いやそれお前も」 おっとしまった。うっかり声を大きくしちまったぜ。 しかしこのメンツで場を治めるのは相当骨が折れるぞ。メンタル的方向で。 豪炎寺「……だが名前か名字。お前はいいのか、これで」 名前か名字「なにが」 豪炎寺「好きなんだろう、音無のこと」 名前か名字「……そりゃそうだけどさ」 鬼道「ぬぁああんんんだぁあぁとぉおおおお……?!!」 名前か名字「あっちょっと待って暴力沙汰はやめような」 今にもペンギンを召喚しそうなほどぶちギレている鬼道。これ本気だしたらゴーグルからビームとか出せるんじゃね?ってくらい目がギラギラしてるのがわかる。 うん、怖いです。監督消されても困るけど、こんなとばっちりは勘弁だ。 ため息がつきない。もちろんこいつらに付き合うのが面倒ってのもあるが、やっぱり一番の理由は……監督と音無のことが頭から離れない。 歳の差とか立場とかを考えたら難しいことだと思う。何かの間違いじゃないかとも思う。だけど、あれは見間違いじゃない。頭ん中がグチャグチャだ。 にしても友達が失恋で凹んでるって時にこいつらは何なんだろうな。 まともなのは豪炎寺だけで、鬼道は監督(+俺)の殺害計画。円堂と吹雪にいたってはすでに中の人モノマネを始めてる。「これねー円堂さんの飴玉ー!舐めるー?舐めるー?あげないもんねー!」「ワオ!これは絶妙なテイストだね!溶けかけてるけど。」ってどこのランボとデントだ。別次元までブッ飛ばしてやりたい。 豪炎寺「名前か名字。俺は好きだと思ったらすぐに好きだと伝えるタイプだと自負している」 名前か名字「そうだな、風丸への無謀なアプローチはさんざん見てきたからわかるわ」 豪炎寺「このままじゃ……必ず悔いが残るはずだ。わかっているんだろう?」 名前か名字「……」 吹雪「豪炎寺くんに諭されるなんて一生の恥だよ!もう二人まとめてマリアナ海溝の底に沈むしかないね!」 円堂「よし!練習ついでにみんなでお見送りだ!」 豪炎寺「色々言いたいことはあるけどちょっとお口チャック」 名前か名字「もう帰っていいか?一応傷心の身なんで」 鬼道「待て!話は終わっていない!!お前も俺のはるにゃんをたぶらかす輩ならば即排除ry」 豪炎寺「はいはい鬼道はとりあえず落ち着こう」 名前か名字「……」 豪炎寺「名前か名字、どうなんだ」 名前か名字「……告白は、したかったさ。けど今、音無が幸せなら…それはそれでいいと思ってる」 鬼道「……!貴様!!そんなきれい事を、」 名前か名字「確かにきれい事かもしんねえけど、俺が変にかき回して音無を困らせるようなことは……したくない」 本当はちょっと見栄を張った。良くはない。このまま引き下がるなんてしたくない。監督が相手だって、譲りたくない。諦めたくなんか、ない。 (だけど、音無のことを考えたら、俺は。) 鬼道「……ええい!!!こんちくしょう名前か名字風情が図に乗るなあああああ!!!」 名前か名字「ぶべらっ!!」 円堂「うわっすっげえ悲鳴!唾飛ばすなよ汚いぞ!ははははは!!」 ほらきた!暴力! 無力な俺はいとも簡単に鬼道の鉄拳に吹っ飛ばされた。しかも床に顔面からダイブ。円堂がゲラゲラ笑ってやがるが、文句を言おうにも痛みで口を開けられない。 顔を上げたら、そこにはすっげえしかめっ面した鬼道が立って俺を見下ろしていた。歯をぎしぎし鳴らして鼻息も荒い。こめかみには青筋。はっきり言おう。めちゃくちゃ怖い。怖すぎる。 名前か名字「き、鬼道さん?暴力はダメだっていやいやマジでダメだって」 鬼道「名前か名字、俺は!俺はなあ!!!」 名前か名字「ひっ……!」 鬼道「ぐぐぐ……お、俺だって春奈の幸せを誰より考えているんだ!!!春奈が誰かと、こっ…恋をしたとしても……俺は応援、はしないが!!!」 名前か名字「しないのかよ!」 鬼道「まどろっこしい!!名前か名字、今すぐ春奈に告白しろ!!!」 名前か名字「……はあ?!!」 がっしり肩を掴まれたかと思ったら、鬼道にあるまじきまさかの発言。 こ、告白……?!! 名前か名字「お前それマジで言ってんの?!いや、だから俺は音無を困らせるようなことは……」 鬼道「単刀直入に言うと監督にお義兄さんなんて呼ばれたくない。まだお前の方がマシ。……かなり譲歩してな!本当はすっごく嫌だけどな!!」 名前か名字「なんだその激しく個人的な理由!!」 豪炎寺「鬼道…成長したな……!さぞツラいだろう、わかるぞその気持ち……!!」 吹雪「あはは、キモッ」 豪炎寺「感動が全部吹っ飛んだんだが」 円堂「名前か名字!話はよくわからないけど、これだけは言える!」 円堂が俺の背中をポン、と叩いて、いつものようにニコッと笑った。「サッカーやろうぜ!」っていつも皆に元気を与える、あの笑顔で。 円堂「どんなことだって諦めたら、そこで終わりだ。サッカーと一緒なんだ!」 名前か名字「……!!」 円堂「負けちゃだめだ、名前か名字!試合にも…自分にもな!」 名前か名字「円堂……」 これぞ円堂ミラクル。 魔法の言葉で楽しい仲間がポポポポーンと……背中を押してくれる。後押ししてくれる。気づけば、吹雪も豪炎寺も、(やっぱり般若みたいな顔した)鬼道も。 円堂「名前か名字……立ち上がリーヨ!!」 あ、そこは歌からの引用なのね。 若干ズッコケながらも、俺は立ち上がった。そうだ、音無には迷惑なことかもしれないけど、だけど、(こんなに応援してくれる皆がいるなら。) 少しくらい、わがままを言ってみたっていいんじゃないかなと、思ったんだ。 名前か名字「ありがとう……俺、行ってくる!」 吹雪「君、今の時刻覚えてる?もう深夜だからね?音無さん寝てるから」 名前か名字「……」 吹雪「なに?それとも夜這い的な方向なの?」 鬼道「それは絶対に許さん春奈は俺が守る!!!!!」ぱりんっ! 豪炎寺「鬼道のゴーグルが割れたああああっ!!」 吹雪「あっそれと僕はリア充失せろ派だから全然応援してないからねっ!」ニコッ 名前か名字「鬱になりそう」 (マジで感謝!!………は出来ないな) |