*過去の補足(philia)


婚約者に対する感情が“恋”と呼べる物だったのかは最早曖昧。家族のように愛していたが、「婚約者」という関係から刷り込みで恋をしているのだと思い込んでいたのかもしれない。妹と相思相愛だったのならば一言言って欲しかったが、自分がきちんと向き合えていなかったのかとも思っている。
家を守る事と、妹との生活の為の仕事と、魔術の研究でいっぱいいっぱいだったのだと時間が経った今は思えるが、結果として二人をきちんと見ていなかった自分の所為。

魔力の暴走さえ無ければ、落ち着いた後に二人を許せたかもしれない。許せなくとも自分が遠くに行けばそれで済んだ筈だった。心の底から憎いなんて、───思いたくなかった。

婚約者と妹を殺して罪人として捕えられ永い永い年月が過ぎ、自分も妹も婚約者も事件すらも覚えている者が居なくなって、自由を得た今も尚、恋なんて物は出来ない。他人に身体を許す事はあってもそれは贖罪、罪に汚く穢れた自分は未だ許されていないと再認識する為の自傷行為だと本人は気付いているのかいないのか。






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