「いい加減にしないか!」

繽紛たる口調のクラウスがリュユージュに叱責を飛ばす。

「彼奴は国家反逆罪により、国外追放の有罪判決を受けたんだ!お前はそれを未だ…、」

「お言葉ですが、クラウス将官!」

しかしそれに負けじと、リュユージュも声を張り上げた。非常に稀有な事態に、全員が目を見張って注視した。

「前任の副隊長であるレオンの功績を、多数御存知ですよね?例えば、バレンティナ陸軍の捕虜の強制送還。彼を船長に任命したのは、将官ご自身だ。」

「ああ、そうだが。」

「貴方の選択は正しかった。帆船の損傷こそ免れられなかったものの、捕虜の反乱や逃亡などは無く、彼は無事に任務を完遂しました。それも、迅速に。」

クラウスは無言で頷く。

「また、バース及びデイ・ルイスでの戦闘に於いても、最も重要な敵軍の退路をレオンが断ちました。それによって挟撃に成功し、我が軍が勝利したんです。」

暫くした後、リュユージュは声を抑えて問い掛けた。

「では、お尋ね致します。将官は、現任の副隊長の功績を何か一つでも御存知であらせられますか。」

その言葉への返事として、クラウスは口を閉じるしかなかった。






「ねえねえ、何の話し?俺、全然分かんないんだけど。」

ヘルガヒルデが二人に問い掛ける。

退役してからは閑居にも近い生活をしていた彼女は、レオンハルトの存在を知らない様だ。

クラウスがどう説明したものかと言葉を探しながら歯を軋ませていると、リュユージュが先に口を開いた。

「元第二隊 副隊長、レオンハルト・カイザー。彼は第一級国家反逆罪に問われ、永久国外追放の有罪判決が下されました。」

リュユージュは再び全員を回視すると、毅然とした態度で発言した。

「しかし、在軍時のレオンは只の一度も命令違反はしてはおりません。残した多数の功績が、それを証明しています。彼は軍にとって隊にとって、そして僕にとって、不利益な行動など一切取っていなかった事をここに断言する!」

ギルバートからの助言により、心に固く誓ったのだ。

「僕は彼の減刑を公的に主張し、そして復権を要求します!その為にも、第二隊の解散は断固として拒否する!」



大切なものを、守る事を。

守る為に、行動する事を。

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