起死回生



「おう、今日の晩飯は豪華だな。」

「本当だな。」

バースの囚人達は興奮した様子で、祝い膳に箸をつけ始めた。

「半年遅れで、ようやっと成人式か。」

「みたいだな。」

「成人式?」

ギルバートは隣の会話に割って入る。

「ああ、ルード家の双子の成人式さ。」

「御令息が学校ダブっちまって、延期になってたんだよ。」

「へ…。」

━━な、何やってんだよ。隊長さん…。

ギルバートは心の中で苦笑した。

「でもよ、恩赦はどうなるんだ?今まで、卒業式と成人式と結婚式がいっぺんに行われてたじゃねえか。」

「け、結婚式!?」

そう食い付いて来たギルバートの大声に、囚人達は元より看守達も驚いた。

「もう少し、声を落としなさい。」

「はい、すみませんでした。」

さすがに無礼講とまでは行かないが、今日は看守の注意も甘い。ギルバートは立ち上がって看守に謝罪を済ませると、隣の囚人に視線を戻した。

「嘘だろ、結婚?」

「嘘じゃねえよ。あ、そうか。お前、西国の出身か。」

「結婚て言うか、あれだ。子供を作る為の大義名分だよ。」

囚人達の言葉の意味が分からなくて、ギルバートは首を捻る。






「ヴェラクルースの血族は皆、双子同士で結婚するんだよ。純血を維持する為にな。」






「それで次も必ず男女の双子が生まれるってんだから、奇妙なもんだよな。」

「ああ、全くだ。」

彼等の最後の方の言葉は最早、ギルバートの耳には届いていなかった。

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