「はあ…。」

レオンハルトは星空を見上げながら、溜息を吐いた。

彼女達の立場や役割を考えるならば確かに、自己主張をしないと生きては行けないだろう。

リュユージュの寵愛を受けられなければ、路頭に迷う事になるからだ。

「はあ…。」

無意識に、また溜息が出る。



「お待たせ致しました、レオンハルト様。」

背後から掛けられた声に振り向くと、権利を勝ち取ったエキゾチックな雰囲気の女性が誇らし気に微笑んでいた。

「参りましょう、エスメラルダ殿。」

レオンハルトは取り繕う為に笑顔を見せ、連れ立って歩いた。

「どうかされまして?重々しい溜息ばかり。」

「あ…、いえ…。」

レオンハルトは体裁が悪く、恥ずかしそうに話した。

「自分はルクレツィア殿に失礼な事を言ってしまって、傷付けてしまいました。もう少し、言葉を選ぶべきでしたのに。」

「まあ。」

エスメラルダは口元を隠し、ころころと笑う。

「リュユージュ様、良くレオンハルト様の事を仰ってましてよ?」

レオンハルトは顔を上げ、エスメラルダに視線を向ける。

「『女の扱い方が全くなってない』ですって。」

その言葉を聞いて、彼は更に溜息を吐いた。

「ええ。本当に…、その通りです…。」

消え入りそうな声でそう答える。

「まあ。お分かりになりません?」

問い掛ける様に首を傾げるエスメラルダの真意は、レオンハルトには理解出来なかった。

「私はレオンハルト様のそういう所、嫌いではなくってよ。」

彼には益々、意味が分からなくなった。

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