見せないで 



「何かお前、白いね。」

夏休みだと言うのにあたしはどこへも出かけていない。

「ま、俺もだけど。」

「在宅の仕事じゃあね。」

「あー、でも俺の方が焼けてる。」

自分の左腕をあたしの右腕にくっつけて来たりするからまた驚かされて、ベンチから転がり落ちた。

彼は唖然とそんなあたしを見ている。



「いや、ちょっと触る方が恥ずかしいの?」

冷やかしてる風でもなく真剣に問いかける。

あたしは何も答えられず、やはり唖然としていた。



そしておもむろに指差し、

「スカートの中、見えてるけど?」

と。






あたしは絶叫してめちゃくちゃに砂や小石を投げ付けた。

「うわッ、何だよ!俺悪くないだろ!?」

「悪いよ!最低!!最悪!!」

「何でだよ、もー。」

あたしからの攻撃が止むと彼はTシャツに付いた砂を払い、帽子を取る。



随分、髪を短くしていた。

ワックスでツンツンに前髪を立て、今までのイメージ払拭。



ほとんど隠れていた顔が今度は逆に、どこも隠れていない。



立ち上がりジーンズの砂も払った後、パンっと帽子もはたく。

「ちょっと手、洗おうよ。」

あたしは彼を直視する事は出来なかった。

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