突発的に
「よ。」
会いたくない時に限って彼はあたしの前に姿を現わす。
特に最近は何故かいつもそうだ。
と言うか、偶然会う回数がだんだんと多くなっている気さえする。
ちなみに今日はスーパー。
「持ってやるって、貸しな。」
「いいよ。大丈夫。」
誰かにちょっとでも寄りかかってしまうと、失くした時の疲労感が前より大きくなる。
瑠乃との関係が壊れた事で、あたしは学んだ。
「あのな、周りの目もある訳だ。何で男が手ぶらで、女子高生が大量に荷物抱えてんだ?ってな。」
また否定する隙を与えず、強引に荷物をあたしの手から奪う。
嬉しさと寂しさの、自己矛盾。
彼の気遣いだなんて全然感じもしないあたしは、やっぱり子供だった。
「瑠乃と付き合うの?」
この言葉に誰が1番驚いたかって言うと、あたし自身。
「随分と突飛な質問だな。」
何も言えず、黙って少し後ろを歩く。
「どこをどうしてそういう結論に達したかは、俺には全く分かりませんが。」
夕日により必要以上に長く伸びた彼の影を、見つめていた。
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