アフター・ランチ・パニック | ナノ

「あ、そう言えばオレ、この前左之先生に聞いたんだけどさあ。生徒会長って千鶴を狙ってるらしいぜ」
「…生徒会長は先日、確か雪村のことを『我が嫁』と言っていたな」
「はっ。千鶴ちゃんはあいつのものじゃないし。何言ってるんだろうねあの人留年し続けて挙げ句の果てに妄想癖まであるなんて可哀想っていうか最早救いようがないよね」
「総司、黒いから、顔怖いから」
「沖田! 出てこい!」
「あ、薫じゃん。総司呼ばれてるぞ」
「面倒くさいな〜。一君、代わりに用件聞いてきてよ。風紀委員のよしみで」
「…残念ながら俺の出る幕はなさそうだ」
「何で?」
「俺がもう此処にいるからだよ、沖田…!」
「わ〜薫君、どうしたの? あんなに二年生の階に来るの嫌がってたのに」
「…お前、この前千鶴に弁当作ってもらったらしいね…」
「うん。それが何か?」
「…!!! 『何か?』じゃない! そういう馴れ馴れしいことするなよ沖田の分際で!」
「…僕が千鶴ちゃんにお弁当作ってもらったって、別に君に関係ないでしょ。前にも言ったけど、過保護過ぎるのは千鶴ちゃんのためにならないよ。君の自己満足でしかないんじゃないの」
「…〜っ! うるさい! 沖田のくせに!」
「ま、まあまあ薫、落ち着いて」
「あと、お弁当ならこの二人も食べたよ」
「何…?」
「え、ちょ、総司、今それ言うか!?」
「だって僕ばっかりキャンキャン吠えられるなんて不公平でしょ」
「斎藤先輩も…沖田とグルだったわけ…?」
「グル、という表現は適切ではないな。俺と総司と平助は雪村が作った弁当を賭けて生徒会長たちと共に戦った同志だ」
「は? 何で風間が出てくるの?」
「そ、それがさあ薫! 何でも生徒会長、千鶴を狙ってるらしいんだ。この前も千鶴のこと『我が嫁』とか呼んでてさあ」
「…あいつ…!」
「薫君。一つ提案がある」
「? 提案って何だよ」
「僕たち、手を組まない? あの妄想癖勘違い野郎から千鶴ちゃんを守るために」
「総司…それはいくらなんでも生徒会長に失礼だぞ…」
「えーでも通じるってことは多かれ少なかれ一君もそう思ってるってことでしょ?」
「…………………」
「は、一君が総司に言い負かされた…」
「で、どう? 薫君」
「…風間は確かに気に食わない。…だけど、俺はお前も気に食わないんだよ、沖田! よって手を組むなんて真っ平ごめんだ! 俺は俺の力で千鶴を守る!」
「残念、交渉決裂かあ」
「不愉快だ、帰る!」
「あ、薫! …行っちまった」
「いやー面白いね、薫君」
「つーか総司、薫が手を組むなんて言うわけないって思ってただろ」
「うん。万が一そうなってもいいかなーとは思ってたけど。強情な子だよね。まあ、お弁当のことは終わったからいいんじゃないかな」
「なる程。話題を逸らすための作戦だったというわけか」
「うんそうそう」
「いやー…絶対何も考えてなかっただろ」
「結果オーライってヤツだよ、平助。あんまり小さいことにこだわってると、身長伸びないよ?」
「うるせーな! 余計なお世話だ!」

****

「千鶴ちゃんを巡る勢力は大きく分かれてるみたいね。剣道部の沖田さん、斎藤さん、平助君で一つ、風間たちで一つ、あと山崎さんが単独で一つ。薫…は恋愛対象にはならないけど、まあ千鶴ちゃんを思う気持ちは強い、と。残るは先生方ね。どう出てくるかしら」

****

「っくしょい!」
「お、風邪か〜? 土方さん」
「…いや、そんなことはねえんだが」
「最近生徒の間でも流行り始めてるからな。気をつけといた方がいいぜ」
「誰かが噂でもしてるんじゃねえか? もしかして女とか」
「黙れ新八。んなもんいねえよ。くだらねえこと言う暇があるんなら授業の準備でもしてろ!」
「へーい」
「っくしゅ!」
「何だ、左之もくしゃみしてんじゃねーか。保健体育のセンコーが風邪ひいてちゃ示しがつかねえな」
「うるせーよ、ほっとけ。埃だ埃」

End

――――――――――
沖田メインにallで争奪戦シリーズでした。たくさんのキャラを登場させることができて楽しかったです。台詞がないキャラがいてすみません…! 実はシリーズの2話くらいで左之さんが平助に耳打ちしてた内容が冒頭の内容、という設定でした。リクエストありがとうございました!
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