小話置き場 | ナノ



▽初めてのお化粧(CZ)


【鷹斗】
「あれ?」
「ど、どうかしたの?鷹斗」
「うん…おかしいな…撫子はいつも綺麗なんだけど、今日、君がいつもよりももっと綺麗に見えるんだ」
「…っ、実は、今日は少しお化粧をしてみたの」
「へえ、なるほど。それで印象が違ったんだね。女の子ってすごいや。俺、君以上に可愛くて綺麗な子なんていないと思ってたのに、その君自身が更に綺麗になっちゃうんだもん」
「…あ、ありがとう…」
「ううん」
「…………」
「…………」
「あの、鷹斗?」
「何?撫子」
「その、あんまり見つめられると、恥ずかしいのだけれど」
「はは、ごめん。綺麗だなーって、つい見とれちゃって」
(ほ、褒め殺される……!!!)


【理一郎】
「ん?お前今日化粧してるのか?」
「ええ。よくわかったわね、ほんの少しだけなのに」
「まあ、ガキの頃からずっと見てきた顔だからな。気づくだろ」
「…っ、そう」
「…………」
「ちょっと、何?」
「いや、別に」
「嘘ね。何か言いたいことがあるなら言ってちょうだい」
「いや、お前怒りそうだから止めとく」
「そこまで言いかけられたら聞かなきゃ気が済まないわ!さあ理一郎、吐きなさい!」
「……あーもう、わかったよ。……お前は、化粧なんかしなくたって、そのままで充分可愛いよ」
「っ!!!」
「ほら、黙っただろ。だから言いたくなかったんだ」
(これは怒ってるからじゃないわよ、馬鹿っ)