小説 | ナノ
私の好きな人は今まで遠かったのにいきなり近づいた…。
思ってもないところに。
私には姉が2人いてどちらもすごく有名。
志杞ねぇは顔は美人なのに男っぽい。
でもすごくモテる。
文武両道がモットーの志杞ねぇに憧れる人は少なくない。
凛ねぇは容姿端麗、頭もいい。
母に似て真っすぐな黒髪。
私といえば不細工ではないほう。
頭は下の中。
父に似て天パ、クルクルの髪の毛。
なにもかも志杞ねぇや凛ねぇがうらやましかった。
私の好きな人は凛ねぇの彼氏になった。
立海大附属テニス部2年エース、切原赤也。
中1から同じクラスでずっと見てきた。
赤「おッ隣よろしく。切原赤也、テニス部に入るつもり」
「よろしく。苗字名前、部活は弓道部以外」
赤「お前面白い奴だな」
それからすごく仲良くなって恋愛相談とかいろいろするような仲になった。
いつの間にか好きになって2人でふざけ合うのも日常になっていく。
それが嬉しくて毎日が楽しかった。
2年になっても同じクラスだった。
赤「また名前と隣か。よろしくな」
「赤也か。馬鹿だからなぁー」
赤「お前に言われたくねぇーよ」
「うわッうざー」
赤「うっせ!!あッそうだ名前これやるよ」
赤也がくれたのはソーダキャンディ。
「ありがと赤也」
ある日ついに聞いてみた。
「赤也は好きな人いないの?」
赤「まだいねぇーよ。これから探すぜ」
「赤也につくれんの?」
うっせぇなんてふざけあってたのに…。
数日たった日、赤也がいきなり相談してきた。
赤「なぁ名前、やっべぇ///」
「どしたの?好きな人でも出来た?」
冗談で聞いただけだったのに。
赤「一目惚れした///」
ショックだった。
3日経って赤也に彼女が出来た。
口では憎たらしいことを言ってたけど心の中では泣いてた。
凛ねぇにも彼氏が出来たらしい。
夜家の前でキスしてた。
あんなに嬉しそうな凛ねぇは見たことない。
赤也は昼休みも彼女のところに行くようになった。
いつからだろう。
凛ねぇがイチゴミルクの飴を舐めだしたのは。
赤也からもイチゴミルクの匂いがするようになったのは。
赤也の試合は必ず見に行った。
ずっと見てきた。
今日の赤也は元気がない。
頑張って!!
必死に叫ぶけど赤也には届いてない。
すると熱で寝ているはずの凛ねぇの声が聞こえる。
『赤也!!ちゃんと見てるから』
凛ねぇは倒れた。
熱が高いのに無理してくるから。
赤也の試合はすぐに終わったらしい。
凛ねぇを見てたからわからない。
看病してる間悲しくて涙が止まらなかった。
凛ねぇが赤也の彼氏だったんだ…。
そんなことが頭をクルクルと回る。
赤也が保健室に入って来た。
赤「苗字、サンキュ。後は俺が見てる」
赤也が私を呼ぶ時の呼び名が変わってた。
苗字って苗字になってた。
「わかった」
涙を拭いて扉の外に出た。
扉は開いている。
嫌でも2人の声が聞こえてくる。
赤「ばかッ!!」
心配してる赤也なんて知らない…。
あたしが知ってるのはばかみたいに笑う赤也だけであんなに優しそうな赤也なんて見たことない。
『赤也、泣いてるの?』
そんなに不安だった?
私じゃいけないの?
『赤也が昨日女は私だけって言ったよね?私だって男の子は赤也だけだよ』
そんなこと言ったんだ。
赤「ッ…でも。俺…」
『不安なんだよね』
赤「俺だけが凛先輩を好きみたいで、苦しくて。我が儘だってわかってるのに嫉妬したりして」
凛ねぇみたいに赤也に思われたかった。
凛ねぇにだけ優しい…。
そんな貴方が大好きで大好きで…。
ずっと見てきて、貴方に思われたかった。
貴方は私の気持ち知ってた?
ずっと大好きだったんだよ。
前に赤也からもらったソーダキャンディを口に含む。
ソーダキャンディ。
私の恋はシュワシュワ消えて見えなくなくなった。
ソーダキャンディ
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