小説 | ナノ



「蔵、好きや」


蔵「はいはい」

「本気やで!!」


蔵「ちょっと忙しいねん。他の人んとこ行け」

また、フラれてしもた…。



ほんまに好きやのになんで伝わらへんのや。

蔵に会ったんはいとこのユウジのテニスの試合を見に行った時。


その時までテニス部なんか一切興味なかってん。


でも蔵の真剣そうな目に、仲間を大切に思っとる気持ちに一目惚れした。

フラれる度に胸は痛むけど諦めんって決めた。


小春ちゃんはうちのよき相談相手や。


うちが蔵を好きって気持ちも1番に気づいたんは小春ちゃんやった。

今日は前から小春ちゃんと謙也と光で甘いもんを食べに行こっていよった日。


ユウジは手先が起用やから出かける時の髪の毛なんて全てやってもらう。

「ユウジ!!髪セットしてや」

うちん家の隣のユウジの部屋をノックもせずに開けたら蔵がおった。


なんか驚いとんやけど。

つか、え?

うち部屋間違ってないよな?

ユウ「名前なんや?つかなん、その服。初めて見たんやけど」

「今日、小春ちゃんと謙也と光で遊びに行くんやけど光がお洒落してきてください言うたから」

ユウ「お前相変わらずセンスええな」

「当たり前や!!」

蔵「名前、女はお前だけなん?」

「せやで。やけど小春ちゃんは乙女やん」

眉間にシワ寄せた蔵もかっこええで。


集合場所に行ったらもうみんなきとった。


小「名前ちゃんかわええやんか」

「ほんま?」

光「かわええっすわ」

うわぁ…光が珍しいわ。


みんなにはやっぱり蔵のこと聞いてもろて応援や協力をしてくれる。

俺もこっちなんすわとか言ってうちん家まで送ってくれる光。

光「いっそのこと嫉妬させてみたらどうすか?」

「嫉妬?」


光「せや、他の男と仲良くするとか」

「蔵は嫉妬なんかしてくれんわ…」

光「ほな、確かめましょ」


隣にいた光にふわりと抱きしめられてうちはワタワタする。

「ひッ光な、何してんねん」

やから実験やてと耳元でしゃべる光に少しドキッとしたのは内緒。

蔵「何してんねん、財前」


光「部長、こけそうな名前先輩を抱き留めただけっすわ」

またそんな嘘、よう言えたな。

光「ほな俺は帰るんで」

何事もなかった様にスタスタ歩いていく光にうちは何がなんだかわからんなる。


なんか…蔵が怖いねんけど。

蔵「名前…財前が好きなんか?」

「うちは…ずっと、ずっとッ!!蔵が好きやて言ってるやんか」

いきなり強い力で腕を引っ張られた。

気づけばうちは蔵の腕の中で、優しい大きな胸の中におる。

「蔵?どないしてん」


蔵「俺かて、名前が好きや」

「なら…なんでいつもスルーしてたんや…」

蔵「お前は、他の奴らと仲良すぎんねん。特にユウジや!!名前が俺以外の奴らとおったら無性にイライラすんねん」


「ユウジはいとこやで?うち…蔵のこと好きでおってもええの?」

蔵「ええ。好きや、名前」

「うちも、好きッ!!だい…すきッ…」

蔵「泣くなや」

ずっと蔵の…蔵からの好きって言葉を待ち望んどった。


うちはずっと蔵を見とって好きになってくれるんを望んどって…。

気持ちが届いてよかった。



この思いよあなたに届け!!



好き、好きやねん。
大好きや。

この想いよあなたに届け