小説 | ナノ



 
あぁ…またですか。
 
パシャとシャッター音が聞こえてくる。
 
そこの隙間から撮っているのはわかっているんですよ。
 
 
私は3年B組の委員長をやっています苗字名前です。
 
テニス部柳生比呂士の彼女なのですがただ今ストーカーにあっています。
 
いつもならひろくんやまさくんが近くに居てくれるんですが生憎居ないんですよね。
 
犯人が誰かわからないので怖いんです。
 
 
『あ、苗字さん。ちょうどいいとこにいた。数学教えて欲しいんだけど』
 
「相田くん、」
 
『ダメかな?』
 
 
「いいですよ。じゃあ図書館へ行きましょうか」
 
荷物を全てまとめてひろくんに図書館にいますとメールをして目的の場所へと向かった。
 
 
『流石苗字さん。教え方すごく上手いね』
 
「ありがとうございます」
 
『ねぇなんでいつも敬語なの?』
 
 
「これが癖になっちゃいまして。でも気にしないでくださいね」
 
 
相田くんが問題を解いている間、私はひろくんに進められていた小説を読みはじめた。
 
『あれ?苗字さんって眼鏡かけてたっけ?』
 
 
「いえ。本を読む時だけにしているんです」
 
『ねぇ苗字さん。付き合ってる人いないの?』
 
 
「どうしてですか?」
 
 
『俺が苗字さんの彼氏に立候補したいなと思って』
 
気づけば相田くんは私のすぐ目の前に来ていて驚きと恐怖で目を見開く。
 
 
『俺ずっと苗字さんを見てた。ほら見て?この苗字さん可愛く撮れてるでしょ?』
 
相田くんの手から出てきたのは着替えをしていたり、笑っている私の写真だった。
 
「…あなただったんですか」
 
 
『そうだよ。俺はこんなにも名前が好きなのに気付いてくれないから俺から言っちゃった』
 
「…ヒッ…」
 
 
怖くて後ずさるけどイスが邪魔して後ろに下がれない。
 
比「何をしているんです?」
 
「ひろ…く…」
 
 
ちょうどいいところにひろくんが現れて私はホッと息を吐いた。
 
比「私の名前を返して頂けませんか」
 
私の手首を引っ張ってひろくんの胸に顔を押し付けられる。
 
いつのまにか相田くんはいなくなっていて肩の力が一気に抜けた。
 
「ひろくん…」
 
 
比「心配をかけさせないで下さい。名前が無事でよかった」
 
「ひろくんごめんなさい。私、怖かったです」
 
比「私と一緒にいるときは敬語はやめてくださいと言ったでしょう」
 
「ごめんね、ひろくん好き」
 
比「私も名前が好きですよ」
 
 
かけていた眼鏡をとられてひろくんも眼鏡を取る。
 
 
 
彼は彼女の唇にキスをした。
 
 
 
(ひろくん、心配かけてごめんね?)
(本当です。もう男の人について行くのはダメですよ)
(はーい)
(好きです。愛してますからそばにいて下さい)
(わかってる。ずっとそばにいるね)

He kissed her on the lips.