小説 | ナノ
君が俺から離れて行った。
付き合っていたけどそこまで興味はなかったんだと思う。
同じ部活だからずっと一緒にいて恋愛対象に入っていなかった…のかもしれない。
幼なじみの蓮二や真田とばかりいて俺はその次みたいに感じる。
名前を呼ばれるたびに苦しくなる。
いつからだったか。
俺が他の女と寝るようになったのは。
名前はそれを知っていて俺に笑顔をくれていたのだろうか?
その行為をしている最中にバタバタと教室から遠ざかる足音が聞こえた。
「…やめた」
『えッ精市?』
「名前を…呼ぶなッ」
制服を着直して廊下歩いて行くと蓮二の胸の中で泣いている名前がいた。
『蓮二ッ…』
やっぱり…仲がいいな。
『蓮二…辛い、辛いよ…』
蓮「…お前は頑張ってる」
愛しそうに悲しそうに名前を抱きしめる蓮二にイライラする。
次の日名前が俺にメールを寄越した。
屋上に来いとのこと。
なんだか嫌な予感がする。
『精市…別れよう』
「どうしてだい?」
『それを君が聞くの…?』
「…」
『大好き…だった』
涙をこらえているのか不細工な顔で笑って出て行った。
それを見た瞬間胸が苦しくなる。
知らないうちに涙が頬を伝っていた。
「名前…名前ッ!!」
ひどい喪失感が俺を襲う。
弦「幸村…。大切なものはなくなってから気づくものだ。いつまでもそばにあるとは限らない」
「真田…」
それから俺はすべての女を切った。
クラスでも部活でも名前は俺を見ようとしない。
「名前…」
久しぶりに名前が1人のところを見た。
愛しくて抱きしめてしまいそう。
「名前…」
『ゆきむ…ら?』
肩をビクッとさせてこっちを見る。
久しぶりに合った視線。
名前に触ろうとしたその時…。
『触らないで…。他の女を触った手で…あたしに触れないで』
「…ッ!?…んぶ」
『え!?』
「全部切った。俺には名前だけだ」
部活の前に花屋で買った向日葵を渡す。
「これあげる。名前のために買ったから、だからもらって」
そばにいなくなってから名前の存在が大きいことに気づいた。
言葉にしなくてごめん。
辛い思いをさせて、悲しませてしまってごめんね。
その場の空気に堪えられなくて離れようとした。
でも名前が呼び止める。
『これはほんと…?』
「何がだい?」
『向日葵の花言葉、私の目はあなただけを見つめる…。ほんとにあたしだけを見てくれるのッ?』
「ッ…俺には名前しか…いないんだ。でも、今更図々しいよね…」
胸が痛い…。
『信じて…いいの?ちゃんと精市を信じていいの?』
「もう名前を悲しませたくないから…」
『ずっと好きなのにッ、精市が好きッ』
向日葵の花言葉。 “私の目はあなただけを見つめる”
俺じゃ君を悲しませるだけだと思った。 もう1度信じてくれるというのなら俺は…。 君を愛し抜こう。 離さないとここに誓おう。
――――――――――――――― 真田は…どこにいたんだろうか…
書いてから気づいたってゆー(笑)
向日葵
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