小説 | ナノ



[そう畏まらなくていい。お前はもう俺のモンだ]


チャイムの鳴る音がする。

ナ「名前?」

ハッと気が付いて辺りを見回す。


「えと・・・今は平成で、ここは学校で」

ナ「うん、 名前 ?」

「・・・白昼夢見ちゃった」

ナ「またなの? 名前 、最近ぼーっとすることが多くなってきたけど・・・大丈夫?」


夢・・・そう夢。

物心ついた時から繰り返し見る夢。

自分はある地の踊り子で何か能力を持ってて、何だか知らないけど海賊のあの人に会って、あたしは海に出た。


[俺はお前に危害は加えねェ。この船にいる限り俺がお前を守ってやる]

えーと・・・ここは学校で、親友のナミが心配して見ている。

さっきのは夢?

夢って割り切って考えられたらどんなにいいのかな?

ただの夢だと一蹴するには印象強いし、最近は日中にも記憶に上ってくる。

もしかして前世?

いや、ないよね。

非科学的すぎる・・・でも?


ナ「名前?授業、次移動よ」

「あ、ごめん!?急がなくっちゃ」

ナ「ふふ、こけるわよ」

「こけないよ!!」


次の授業はクザン先生だから多少の遅刻は許される。

青「あー、 名前 。ユースタスを連れてきてくれ」

「はーい」


私の幼なじみ、キッドことユースタス・キッドは俗にいう不良というやつだ。

幼なじみだからよく頼まれるの。

3限目のこの時間。

いるのはきっと屋上。

そっとドアを開けて呟くのはキッドの名前。


「キッド・・・?」

キ「あ? 名前 、どうした」

のんきな声を出す赤い髪のキッド。


「どうした?じゃないよ。キッドが授業でなきゃあたしが言われるんだからね!!」

キ「あー、はいはい。まァ、もう少しゆっくりしよーぜ」

「もう・・・」


呆れながらもフェンスにもたれかかる。

下をのぞくと目に入ってきたのは女の子に囲まれているトラファルガーくん。

トラファルガー・ロー。


どう見てもこの人なんだよね・・・。

夢の中に出てくる男の人。

半年前、初めて会ったときは驚いた。


[あ、いたいた。キッドー!!]

キ[おゥ、どうした?]

[イチゴミルク飲みたい]

キ[はァ・・・自分で買えよ]

[ケチ!!ん?後ろの人は?]



初めて見るトラファルガーくんにビクビクしてるあたし。

人見知りの発動だね。


キ「あァ、こいつはトラファルガー・ローだ」

[トラファルガー・ロー・・・?]

ロ[ユースタス屋の知り合いか?ククッよろしく]



トラファルガーくんはあたしの顔をじーっと見てくる。

[・・・?あたしの顔に何か?]

ロ[は・・・ッなんでもない]



夢で先に会ったことがあるなんてそんなことあるわけがない。

おそらく前にどこかで会ったことが・・・。

「キッド、もうそろそろ・・・」

キ「あ?まだいいだろ」

「なんで幼なじみはこんなんなんだろ。ふぅ・・・」

キ「ハハッ言っとけ」


知らないうちにトラファルガーくんを見つめていたらしい。

キ「名前 、お前は」

「ん?」


キ「たいていトラファルガーを目で追ってるよな。なんか恋する乙女みたいだな」

な、なな・・・。

あたふたしているうちに足を滑らせてキッドへと倒れる。


キ「ぐェ!!」

「うへ、ごめん。いた・・・」

キ「どうした?」

「足、ひねった・・・」


キ「チッ、しゃあねェな。ほら、捕まれ」

キッドに支えてもらう。

キ「相変わらず名前はそそっかしいな」


「む、でもそんなこと言いながらかまってくれるのはキッドだよね」

キ「うるせェ!!そそっかしいからほっとけねェんだよ」

「へへ」


今まで見てきたものは全て夢だったらいいと思うの。

なんでかって?

だってそれが1番楽なんだよ。

あなたもそう思うでしょ?

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