小説 | ナノ



俺の幼なじみの昔からの夢。

“幸せにすごして、世界一幸せなお嫁さんになること”

その夢を叶えるために俺は努力してきた。


なのに…。

『光ぅー!!』

久しぶりに部活が休みで、寝ていた俺を起こしたあいつの声。


「…なん…や」

『さっくんがなッ、別れよってッ…。うちッ…なんもしてないのに』

あー、山田佐助だっけ?

まだなんも仕掛けてないんやけど。


もうこれで何回目やろうな。

「はいはい…。後で聞いたるから、今は寝かせろ」

『ひがるぅ゛ー!!』


わかった、わかったから。

うっさいわ。

そばで泣いとる名前を抱きしめてあやしてやる。


俺の幼なじみ名前はモテる。

せやけど、俺が裏でいろいろしとるからすぐ別れるねん。


「今度はなんやて?」

『君にはついてけへんやっでッ…』

そらそうや、お前についてけるのは俺だけや。


はぁ…。

そろそろ俺を見ろやな。

『光を…好きになればこんな思いせぇへんのかな?』

「ッ!?」


『あー、図々しいな。わかってる、』

「名前、」

『ん、なに?』


見上げた名前にキスをおくる。

『は…?』

「ずっと前から、俺は名前が好きやったで」


『え、は?うそ!?』

「ほんまやて」

『光ッ、うちの夢は…』


「知っとる。お前の夢は世界一のお嫁さんになることやろ」

『ッ、光』


もっと抱き着いてきた名前をぎゅうと強く抱きしめる。

『好きでおってえぇの?図々しいと思う?』

「好きでおってえぇ。図々しいと思わへんから俺のこと好きでおれ」


笑顔になったあいつが可愛くて俺は肩に顔を埋めた。



永遠に誓うよ。



お前の夢を叶えたるから、黙って俺のことだけを見とけばいい。