◎長文のお題です。一パラグラフを全部使っても、一部分を抜き出して使っても構いません。分けても区切っても結構です。どうぞご自由にお使いください。


いつの時代も人は恋をしますが、その恋がいつの時代もしあわせであったかというとそうではないのです。恋と愛が全くの別物だということとちょうど同じように、全ての恋人たちが皆しあわせだとは限らないのです。


今私は彼が狂っているとようやく理解しました。いいえ、本当は初めから気付いていました。認めたくなかっただけで。狂気の淵に佇む彼はあと一歩で奈落に落ちそうに見えたので、私は手を伸ばしました。それはもう無我夢中で。彼の表情は酷く歪み、苦しそうでした。そしてその時私は悟ってしまったのです。本当の意味で狂っていたのは彼ではなく私だ、ということを。


人間とは憎しみの気持ちをもって産まれてくる生き物です。ですから私と貴方が憎しみあうのは、まあ仕方のないことと言えるでしょう。愛する気持ちは人は産まれつきもってはいません。愛され、憎まれるうちに自然と育まれるものなのです。私は貴方を憎んでいた。憎しみあっていたはずなのに、どうやら不覚にも心の中で何かが育まれてしまったようです。


世界で最初の人間は、一体誰を愛せばいいのでしょう。


「君は一体誰なんだい?」青年は最後にそう尋ねました。不思議な少女は黙ったまま、青年の心臓のあたりを指差しました。それだけで青年には十分だったのです。青年は駆け寄ると少女を抱きしめました。すると二人の輪郭はほどけるように溶けていき、あとには美しい一輪の花が残りました。夜が、明けようとしています。

分かってるわ。私が一番よく分かってる。私を罵倒したり、殴ったり蹴ったりしている時に一番傷ついてるのは私じゃなくて貴方だってこと。平気よ。私のことは気にしないで。私なんて美人でもないしどこにでもいるただの女だもの。大丈夫、貴方の気の済むようにしたらいい。私は貴方のことが好きになってしまっただけのただの馬鹿な女だもの。


Home
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -