私ゃ甲殻怪獣のオニババ。アンティバースの奴らの中じゃ最年長者なんだ。そして、この装甲の堅さもあのスラターンにすら引けはとってない。……多分。
そんな中、かつて私が訪れた日本では今「せつぶん」という行事が行われているらしい。何でも、オニという怪物に向かって豆を投げるんだそうだ。聞いてるだけで私に対しての当てつけにしか聞こえん。何とも野蛮な習慣だな。


とにかく、恨み言は後だ。とりあえずそのオニとやらに化けて、若い奴らを脅かしてみようじゃないか。先ずは青鬼のお面を付けて、と───よし、バッチリだ。





先ずは、私らより知名度が上がりつつある刃物頭共からだ。特にナイフヘッド…普段は人類に対してやたら愛想が良いらしいが、果てさてどんな反応をしてくれるやら?

「うわ、何だ!?お、オニババさん!?」
「豆!豆どこだー!?」

「………!(絶句)」


ふふふ、揃いも揃って見事に怖がっておる。良い気味だ。ましてやこの慌てよう、事前に豆を用意しておくべきだったねぇ。笑いが止まらん。
さてさて、次はオオタチとレザーバックだな。彼奴らはかつて人類を瀬戸際にまで追い詰めたそうだが、今の鬼の面を被った私を見て、さっきのナイフヘッド達みたいに怖がってくれるかな?





「はい何方……キャー!お、オニぃ〜!」

ははは、オオタチの奴私と目が合った瞬間、怖がってレザーバックの後ろに隠れておる。それでも我が組織の中で一番の猛毒持ちかい。笑えるのぅ。
それにレザーバック、心なしか臆してないか?可愛い奴め。

「テメェがオニか…早いとこ成敗してやるぜ」


オニはどっちだ、全く。生意気に豆を用意している上に怖い顔なんぞしおって……いてててて!いきなり年寄りに何て事を、というか装甲に穴が開くじゃないか!まるで奴の投げてくる一粒一粒が弾丸みたいだ…とりあえず逃げねば…!





命からがら逃げ出したは良いものの、案の定私の装甲には少し窪みができてしまった。おのれ、あのゴリラ野郎。伴侶が絡んだら容赦がないな。
だがしかし、まだまだ訪問すべき相手はいる。スラターンと、その取り巻き共だ。




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