「名前ちゃん。血が出てる」

「へ?どこ?」

「そこ」


同じクラスのくのたまの子に指差されたところを見ると、ひじが少しだけ赤く濡れていた。


「かすり傷かー…
ちょっと医務室で消毒してくるから先に行ってて」

「わかった」


その子と別れ、私は一人医務室に向かった。



オーバー・ワールド



「失礼しま―――した」

「ちょっとちょっと名前ちゃん、何で出てくの?」


閉じかけた戸を中から無理矢理開けられる。
そこには同い年の善法寺伊作がニコニコと気持ち悪いほどの笑顔で立っていた。


「ケガしたんだよね?中入ってよ」


今日はこいつが当番だったか。
さっさと消毒だけして帰ろうと、医務室に足を踏み入れた。


「お、名前じゃねーか」


なんでこいつもいるんだよ…!

嬉しそうに私の名を呼んだ男、食満留三郎は至って健康そうなのに当たり前のように医務室にいた。
善法寺伊作と食満留三郎。
私はこの二人が苦手だ。


「で、どこケガしたの?」

「あー…ひ「おい大変だ!尻が割れてるじゃねーか!」

「生まれつきだよっつかなに普通にお尻さわってんだよお前は!」


ななめうしろに立っていた留三郎を殴る。
そう、こいつらは俗に言う変態なのだ。
それが私がこいつらを嫌う理由。


「いてぇじゃねーか!
俺はただ名前の尻がふたつに割れてることを教えただけだ!」

「誰だって生まれたときから割れてんだよ!あんただって割れてるでしょ!」

「名前が確かめてくれ!」

「自分でやれ!
つか私はひじのかすり傷に消毒を――」

「なんだって!?名前ちゃんの綺麗な御足に傷が…!」

「だからひじー!!
なに袴脱がそうとしてんだよ!!」


脚にすがり付いてきた伊作を蹴る。
遠慮?こいつらには必要ない。


「あ、血ぃ出てんじゃねぇか」

「そうだよ。だから消毒しに」

「お前の尻」

「尻から離れろよ!」

「名前ちゃん…あの日?」

「ちげえええ!
ねぇ私の話きいてる!?私ひじって言ったよね!?」


真面目な顔で心配する伊作とまだお尻をさわろうとする留三郎に目眩がする。
こいつら、これがなければいいやつなんだけど…


「もういい。自分でやるから」

「無駄無駄ぁ!」

「なにが!?」

「消毒をするのは保健委員の仕事!
名前ちゃんは僕に身を委ねればいいんだよ」

「誤解される言い方すんなよ伊作」

「じゃあ俺の仕事は名前の尻を「だから尻から離れろよ!」

「はい、じゃあ足だしてねー」

「保健委員なら人の患部くらいちゃんと聞いてろよ!私の足超元気だから!」

「本当だ尻割れてんじゃねーか!」

「だから生まれつきってこれさっきも言ったー!!」


とりあえずもう一回留三郎を殴っといた。
留三郎はお尻が好きなのか。そんなに好きなら尻だけ星人と結婚すりゃいいじゃないか。


「あ、なんだひじかー…」

「ねぇなんでつまんなそうなの?ひじじゃいけないの?」

「別に…足がよかったとかそんなんじゃないから」

「あんたはどこぞのツンデレだよ」

「やだなーツンデレキャラは左近だけで…
…もしかして、名前ちゃんってツンデレ好き?」

「いや、違うし」

「し、しょうがないからツンデレになってあげるよ!
き、君のためだから!」

「おもっきしデレてるよ」

「なぁ尻!尻は無事か!?よっつに割れてないか!?」

「ねーよ!あんたホントにどこまでも尻しか考えてないな!」

「ぶっちゃけると貧乳っていいよな」

「会話してえええ!!!」

「名前ちゃんはおちち大きい方だよね」

「お…おちちー!
あると思います!」

「ねぇよ!
つかなにさわってんの伊作!」

「おちち」

「ねぇおちちって言っててはずかしくないの?」

「おい大変だ!名前の乳がよっつに「ねーよ!」


なんか二人して私の胸をさわり出したので、とりあえず男のシンボルを蹴っておいた。
ひじを見れば、赤い血は乾いて黒くなっていた。あれ、私ここに何しに来たんだっけ…


「名前ちゃんのおちちは手のひらに収まるか収まらないかくらいだね。うん、ジャストフィット」

「嬉しくないから」

「俺はぺったんこでもイケるぞ」

「ロリショタコンは黙れ」


これ以上ここにいてはキリがない。
適当に消毒をして医務室から逃げるように立ち去ろうとすると、あろうことか転んだ。伊作の手によって。


「て、てめぇ…!」

「僕らの時間は始まったばかりじゃない」

「いやもう終わったよ。消毒した時点で終わりのゴング鳴ったよ」

「ああ…名前ちゃんの足…」

「ひいいいいい何この変態!!」

「そんなに乳でかいと肩凝るだろ。
揉んでやるよ。尻」

「だからお前は尻から離れろ!!!」





しばらく経ってから、帰りが遅いことに心配した友達たちによってこの変態二人からやっと解放された。
やっぱり持つべきものは友達だね!











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「yt」の山田トマト様宅の1万打フリーリクエストより!アップが遅れてしまったのが申し訳ない限りです…><
おめでとうございましたと同時に素敵な小説いただいちゃってうっほうほです(^O^)やっぱり変態は素敵だね!
もうすぐ3万打ですが、とても楽しみですね!

※尚、こちらの小説の無断転載は禁止です。



100212




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