それは移動教室から帰ってきた時だった。次の授業の用意をするために自分の鞄を開き、中を覗いて目当ての物を探し出し鞄を閉めようとしたが何かがおかしい。何かが足りない。こんなに鞄の中に余裕はあっただろうか?こんなに物と物の間は空いていただろうか?…そして私は悟った。


「………ない」


私の体操服が姿を消したことに。

何故私の体操服が消えたのかは謎である。周囲の人間との関係は良好、少なくとも体操服を隠される様なことはない。誰かに妬まれる要素も思い付かない。よっていじめの線は限りなくゼロに近い可能性なわけだけど、ならば一体何が原因なのか。特別秀でたところがあるとは言えない私に、体操服を盗む程想ってくれる奇特な人物などいないだろうし…だからストーカーや変質者の類の線もない。

そのことを目の前にいる、やたらと綺麗な教育実習の先生に告げると彼は軽く笑いこう言った。「わたしが解決しよう」、と。そして彼、――立花先生は言葉通り事件解決に乗り出してくれた。…乗り出してくれたのはいいのだけど……


「立花先生…もう立花先生の教育実習期間終わりましたね…」

「…そうだな、すまない。わたしが不甲斐ないばかりに……」

「あっ…いや、そのぅ…立花先生を責めるつもりでは…!」


放課後、委員会で帰りが遅くなった私は忘れ物を取りに教室まで来た。そこには今日で実習を終えた立花先生…夕日の差し込む教室に立花先生はひどく映えた。
見惚れていると私の存在に気付いた立花先生が私に話し掛け、あの様な会話へと至るのだった。


「…それにしても、犯人は誰だったんでしょうね…」

「ふむ、名前は体操服を盗んだ相手に興味が?」

「興味というか好奇心というか…気になるじゃないですか、私みたいなちんちくりんの体操服を持っていくなんてどんな人だろうって」

「名前は充分に美しいのだから狙う輩の一人や二人いてもおかしくはない。それにしても…その考えは非常に危険だ。もしかしたらこの会話を聞いた窃盗犯が名前に襲いかかるかもしれないぞ?」

「ま、またまた…立花先生ったら…。そんなことないですよぅ」

「分からないぞ?…ほら、こんな風に」

「あっ!」


そこで私は立花先生に両手首を掴まれ壁際に追い込まれた。…この状況で不謹慎かもしれないけど、立花先生って本当に綺麗…。…じゃなくて!


「先生、やめてください…!」

「嫌だ。…それに、名前の体操服を盗んだのはわたしだ。犯人のこと教えてやる義務がわたしにはある」

「なっ…!」


意味が分からない。話の流れから察するに、立花先生が犯人…?


「この二週間、楽しかったぞ。何も知らない名前と一緒にいるのは」

「っ…!」

「名前の体操服からは今の名前と同じ匂いがする…」

「ひっ、…やめてくださっ…!」


そう言って私の首筋に顔を埋める立花先生。心なしか鼻息が荒いような…き、気持ち悪い…!

…ああ、あんまりだ。私の二週間をこんな体操服窃盗野郎に奪われるなんて!





たったの二週間
(早く離れて体操服返して下さい…!)(家まで取りに来るなら考えよう。ちなみにわたしは一人暮らしだ)(!!!)


















―――――
曼珠様からのリクエスト、です、が…!全然変態ギャグになっていない気が!いつでも加筆・修正を申し付け下さいませ…!
嬉しいという気持ちに文章力が追い付きませんでした/(^o^)\

お持ち帰りは曼珠様のみとさせていただきます^^

090831




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