昼休み、授業が終わり昼食を買いに購買に行くとばったり彼女と会った。購買で会うのは初めてで、彼女は僕に気がつくとたたたっと駆け寄ってくる。



「月島くん!」
「珍しいね、購買にいるなんて」
「へへ、ちょっとね」



ニシシと笑った彼女。不覚にも可愛いと思ってしまった自分は大分毒されていると思う。……誰にもナイショだけれど。



「あのね、月島くん…今日誕生日なんだって?」



控えめに言った彼女曰く、どうやら朝練が終わった直後に山口から聞いたようだった。山口、また余計なことを…でも結果オーライだ。他クラスなのに昼休みにも会えるなんて思っていなかった。
そして彼女はそんな僕の考えを何も知らずに、渡すものを用意してないからせめて、とこうして購買の前で僕を待ち伏せていたらしい。どうしよう、ちょっと嬉しい。にやける顔を取り繕ってポーカーフェイスを装った。



「好きなの選んで!奢るから!」
「別にいいよ」
「そんなこと言わないで!私がしたいから!」



せっかくの誕生日だから、祝いたいんだ!と微笑む彼女にまたドキっとする。無邪気なのって罪だなとにやけが抑えきれない口元を左手で隠しながら思う。



「今日はいい、これで納得してくれる?」
「え、でも…」
「……今度、」
「え?」





「………今度の部活休み、スイーツバイキング付き合って」





「スイーツバイキング?」
「それでいいから、誕生日プレゼント」
「うん、わかった!」



じゃあまた部活でね!と軽く走りながら去って行く彼女は、やっぱり僕のために購買に来たんだなと再確認。
初めて取り付けた休みの日の彼女との約束。僕の下心なんて微塵も感じ取っていないであろう彼女の鈍感さに少しだけ、ほんの少しだけ感謝して、僕は去って行く彼女から視線を外し、本日の昼食を選ぼうと列に並んだ。
ああ、次の部活休みが楽しみだ。



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