想い(友雅)
時が過ぎるのは、早すぎて…私は、どうすることも出来ない。
「友雅さん!!」
まっすぐに手を伸ばして君が笑う。
「今、行くよ」
逆光に手をかざして答えると…君の表情は私からは見えなくなって…
渡殿を遠ざかる足音が耳に届く…
なぜこんなにも君は私から離れようとするんだい?
イツカ君ハ私ノ前カラ消エテシマウ…
「真貴殿!!」
こんなのは私じゃない…こんな見苦しい私は必要ない…でも…
「なんですか?」
トテトテと目の前に来た君を抱きしめると。私のあげた侍従の香が甘く鼻孔に広がる。
「と、友雅さん!!」
明るい室内で抱きしめあうことが恥ずかしいのか、私の背中の裾を引っ張る。
それは私に君を、より一層、欲しくさせる行為でしかないよ。
「真貴…真貴、愛してる。」
君の耳元に囁きかけると赤くなって、背中の力が弱くなるのを感じて、抱き上げる。
「何を、す…」
皆まで言わせず唇を塞ぎ、そして帳台に、静かに真貴殿を横たえる。するとその意味を知ってる真貴殿は慌て始めた。
「と、友雅さん!!今は、お昼ですよ!!やめましょう!!」
(かわいい…)
その真貴殿の反応に私はフッと笑みをもらした。そうすると真貴殿は勘違いしたらしく『わかってくれたんですね』と言って身を起こそうとするのを、優しく、けれど力強く制すると…真貴殿は私を“まさか…”といった顔で見上げる。それに鮮やかに笑って見せ、
「私を誰だと思ってるんだい?」
と言い、真貴殿の唇を、もう一度、奪った。
…あとはただ甘い時間…
君を抱いて…君を奪って鳴いてる君を私だけのモノにする
他の誰にも触れさせない、君は私だけを見れば良い…
「ふぁ!あっ友、雅さ…ぁやめ!!」
「やめて?君のここは嫌がって、ないようだけど?」
そう耳元で囁いて、激しく真貴殿の中を激しく突くと、その愛らしい唇から甘い吐息がもれて
「あぁ!!友雅さん!!」
「良い声だね、もっと鳴いてごらん」
そうして真貴殿を追い上げる、激しく、そして甘く…淫らな水音がグチュリ、ピチャリと部屋に響いて…
「とも、ま、さあぁん!いやぁ!おかし、くなちゃ!はぁあ!!」
その吐息、その瞳、全てを私のモノに…
「私は別に、君が、おかしくなっても、かまわないよ。そうすれば君は私だけのモノになる!!」
そう言って、真貴殿の耳元で『愛してる…』と何度も囁きながら、真貴殿の弱い所を中心に激しく抽挿を繰り返すと、真貴殿は可愛い声で『はぁん!友雅さぁ、そん、なぁ激しくしたぁ!はぁん』と言って、私自身を強く締め付けて、果てたことがわかり、私も真貴殿の中に己を解き放った。
君が私の腕の中で眠ってる。それだけで胸に暖かいものが広がる…君の瞳、君の声、君の思い、全てが私には媚薬。
私の右腕に頭を預けてる君の柔らかい頬に、指を滑らせ、君の額に口付けると、甘い吐息が洩れる。
「………んっ」
静かに黒曜石の瞳が開けられて、
「お目覚めかな、真貴」
優しく微笑むと真貴殿は初めは自分がどういうことになったのか、わからなくてボンヤリした瞳で私を見上げていたが、だんだん理解したらしく赤くなった、そして…
「あっ、おはようございます」
と言った。
「フフッ、おはよう。でも今は夕方だよ」
と、からかうと真貴殿は私の胸を軽く叩く
「私がイヤって言ったのに友雅さんが、したんですよ!」
「そうだね…でも君がいけないんだよ」
私の真剣な声に真貴殿が私を見上げる
「…君はいつも私を置いて消えそうに見えるから…」
その私の言葉に真貴殿は悲しそうな、それでいて嬉しそうな微笑すると私の胸に顔をうずめた
「好きです。友雅さん」
優しい君…美しい人……愛しい君…
「君はずるいね…」
そう言って、胸の中の温もりが消えないように強く、かき抱いた…
END
◇