そして十分ほどが過ぎた時。

ガシャアアアンッ

ホテルの壁が蹴破られた。

割れたガラスが月光を受けて、空中でキラキラと輝いている。
その中で蒼い炎を翼をまとっていたのは、不死鳥マルコ、その人だった。

月光と蒼の炎が部屋を照らす・・・

あまりに突然のことで部屋の隅にいたクルーは反応し切れていない、エースがベッドで寝ているのを素早くマルコは確認した。

急いで駆けつけた為に、珍しく息を切らせ。
切羽詰ったかのような険しい視線を、部屋の中央のソファーで小さくなっている刺客へ向けた。


「お前」


ドスの効いた玲瓏な声は向けられた誰しも凍りつくだろう。

もはや察しがついているホテルマンもどきの刺客が咽喉の奥で恐怖で呻いた。と次の瞬間、彼の体は隣りの壁に激突した。


蹴られたと、彼は気付かなかった・・・それほどにマルコの攻撃は早かった。


そしてその音でエースの瞳がパッチリと開く、

「やべぇ、寝てた」

むっくりと起き上がるエースと、なぜか壁がぶち壊され、部屋の様相が一変していることに驚いていると、そんなエースに玲瓏な声がかかった。

「馬鹿野郎」

視線を上げると部屋の中央で、ゆらゆらと蒼の炎を纏っている、その人は・・・エースの漆黒の瞳が見開かれる。

そしてニッコリと笑った

お帰り、マルコ。




「この島の元締めとは大丈夫か?」

そう言葉を紡げば、マルコは溜息を零した。

こっちはお前が毒を盛られやしないかと気が気じゃなかったっていうのに。

「馬鹿野郎」

マルコはもう一度同じ言葉をエースに紡いだ。
今度は幾分かの呆れも混ぜて。

一歩、一歩エースへ近付いて、ベッドから上半身を起こして見上げてくる「弟」の、その頬を柔らかく撫でる。

あたたかかった。

それで充分だった。

「仕方ねぇな、エース。」

ただいま。




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