体だけの。
チュぷっ
いやらしい水音に頭が快楽にとろけて融解しそうだった。
「ぁんっあぁ、やぁぁ臨也っ」
シャワーが出しっぱなしで降り注ぎ、体をビチャビチャに濡らしていても、水音とは違う、いやらしい音は何故か耳に届く。
モノトーンで整えられた、やけに広いバスルームで俺はタイルに体を横たえ、体を開いて臨也の愛撫を受けいれていた。
ズボンから出されたペニスを臨也に舐められる。
裏筋を舌で沿うように臨也が舐め上げると、ゾクゾクと体が震えて止まらなかった。
「ああっ」
「淫乱だね、シズちゃん」
ピチャリと音を立てて、鈴口に塗りこむように臨也の舌が蠢くと俺はクプッと精を出す。
上はバーテンの服を乱して、申し訳ない程度に白のシャツだけが肌に張り付いている。
「気持ち悪い」
グリッと臨也の手が俺のペニスを裏側まで愛撫して、上体を起こした臨也が俺の乳首を服の上から噛んだ、途端に甘い快楽が脳天を突き抜ける。
「ふあああっあっいざっぁ」
くぷっと沢山出る精に臨也の手が濡れそぼる。
俺を貶める臨也の声に泣きそうになりながら、でも体は快楽にぐずぐずに熔けていた。
もしかしたら泣いているのかもしれない、けれど降り注ぐシャワーの音に涙は流され、
嗚咽は嬌声へすり替わる。
好きだった。
気付かなかった。
もう大分前から好きだと気付けなかった。
少し意識が飛んでいてグッタリとした俺に臨也は覆いかぶさってくる。
「手酷く抱いてあげるよ、シズちゃん」
酷薄な薄い笑みが視界に焼きつく、けれど濡れた臨也は息を飲むほどに綺麗だった。
臨也の顔を見るだけで何か哀しいぐらい切なくなって。涙が溢れるけれどシャワーがそれを流してしまう。
「ふっあっうぅっ」
俺が泣いてることに臨也は気付いてないのだろう、臨也は俺の後ろに熱いペニスを押し当てて次の瞬間に激しく突き上げた。
体が繋がる、その一瞬だけで好き過ぎて快楽と一緒に哀しみが流れ出す、
「ああぁぁあっふあぁんっっ」
「ハハハハハハハ」
臨也が喘ぐ俺を見て楽しそうに笑ってる、
「俺にスッカリ慣れたねっ」
玲瓏な声と共に体の奥をグチュグチュに突かれて、どうしたら良いのか分からない。
俺は暫らく揺さぶられ続けた。
突かれる度にはしたなく声を上げて、「奥にくれっ」とねだったりした。
でもそうしてると臨也と俺の熱が交じり合って切なくて胸が痛くて涙が止まらない。
「あんっふぁんっいいっあっおくっそこぉっ」
でも降り注ぐシャワーが涙を流す、そしてどれくらいしたのか臨也がフッと動きを止めて体を折り顔を俺の頬に寄せてくる、そして紅い舌がペロッと俺の眦を舐め上げた。
「シズちゃんの味がする」
その瞬間にバレテいたのだと知る、そして臨也は残酷に笑う、
「もっと泣いてみなよ」
知っていた、体だけだって、知っていた。
けれどそれがこんなにも辛い、胸が痛い。
そして俺はまた涙を零した。
END
◇