一般的に家族間、特に兄弟間となるとそこには遠慮というものが存在しない。
親しき仲にも礼儀ありという諺があるがそんなものは親しすぎる仲では意味をなさないというわけだ。

幼い頃から喧嘩を繰り返してきた兄弟同士では相手を怒らせることなど日常茶飯事であり、多少相手の機嫌を損ねたとしても数日、いや数時間も経てば自然と元通りになるであろうという経験によって培われた自信が彼らにはある。
そうして麻痺してしまった中枢神経は相手に対する罪悪感というものを一切感じなくなり、相互間では思いやりの欠片もない無遠慮な行為がいとも簡単に行われてしまう。


だから、後でゆっくり食べるためにプリンに自分の名前を書いて冷蔵庫にしまっておくなどということはまさしく愚の骨頂なのである。

冷蔵庫に三つあったはずの高級プリン―――とある有名パティシエの新作であるらしい―――のうち一つが早くもVによって食されているのを目撃したとき、Wはそう実感した。


迂闊だったのだ。

本当に他の誰にも邪魔されずプリンを独占したいのならば、冷蔵機能付き有料ロッカーにでも鍵をかけて入れておくべきだった。

家族で共用する冷蔵庫の奥深くに保管して隠した気になるなど今思えば無防備にも程がある。
甘いものに飢えた獣達は冷蔵庫にあるものならば奥深くだろうがなんだろうが見つけ出すのだ。
彼らの手の届きうる範囲に置くということは即ち「さぁ食べてください」というサインを出すことと同義になってしまう。



「V…それ俺が仕事帰りに貰ってきたヤツなんだけど…なんでお前が食ってんだ?」



なんとか込み上げる怒りを押し殺して話し掛けるが、恨みがましいWの声などVにはまるで聞こえていないらしい。
まるで一人だけの世界に入っているかの如く美味しそうに口をもぐもぐさせると、時々「ん〜っ」とうっとりしたような声を出す。

本来の持ち主を無視して一人味わっている姿を見ていると段々腹が立ってきたので、今度は聞こえるよう耳元で叫んでやった。



「おいV!!」


「うぇッ!?あ、W兄様!?いたんですか!?」


大声を出されると流石に驚いたらしく、Vは体をビクつかせた反動で右手に持ったスプーンを床に落としてしまった。
それを拾ってテーブルに置いてやるとありがとうございます、と礼を言いその三秒後にはいつもの落ち着きを取り戻す。
その後はもう、焦る様子も慌てる様子も一切見せることはなくなっていた。



「いるならいるでちゃんと言ってくださいよ…突然大声出すんだからびっくりしちゃったじゃないですか」


「言っても聞こえてなかったみてぇだからこうして声掛けたんだろうが。
それはともかくお前何食ってんだ?そのプリンに俺の名前書いてんの見えなかったのか?」


「あぁコレですか?…すみません、全然気付きませんでした」



プリンの蓋に大きく書かれた"W"というサインを見て、Vは悪びれもせずそう言った。


白を切られた側のWが思わず額に血管を浮かせ相手に掴みかかりそうになってしまったのは不可抗力だろう。

先程まで高級プリンを含み喉元へと通しっていったその口から出てきた言葉は、言い訳にしては驚くほど白々しい嘘だったからだ。


このプリンを食すには第一の工程として蓋を開けるという行為が必須なのだ。
それをしておきながらでかでかと書かれたWのサインを見過ごすなど有り得ない。

誰が聞いても嘘であることは明白なのに、それを躊躇いなく平然と言ってみせるいつになく図太いVにWは戦慄を覚えた。



「気付きませんでしたじゃねぇよ…こんなでかでかと書いて気付かないわけねぇだろうが!!
吐くならもっとましな嘘にしとけ!!」


「本当ですよ…だから知らなかったって言ってるのに…

じゃあ言わせてもらいますけど、そもそもどうして僕が食べちゃいけないんですか?
最近忙しい兄様のスケジュール管理は誰がしてると思ってるんですか?
大変なんですよ僕だってマネージャーみたいなことさせられて…

いいじゃないですか、三つあったうち一つ食べるくらい。
まだ二つ残ってるんだし…全部食べたらW兄様だって太っちゃいますよ」


「あのなぁそういうことじゃねぇんだよ…
お前が一つ食った時点でプリンは皆のものみたいな空気になっちまうことが問題なんだよ!俺が隠してたプリンをこの場所で堂々と食ってることが何を意味するのかわかって―――」



そこまで言った瞬間、Wは後ろから自分を影で覆うように迫った気配を背中で感じた。
嫌な予感が当たったらしい。
振り向けば案の定、そこにあったのはWの人生最大の難敵、弟のものならば金だろうが食糧だろうが容赦なく吸収していく略奪者の姿だった。



「………X……早かったな…まだ11時だぜ?寝てたほうがいいんじゃねぇのか?」


「問題ないな。私の睡眠時間は十時間を遥かに超えている。
しかし昨日の深夜にゴソゴソ音がしたと思えばこんなものを隠していたとは……私に隠れてプリンを食べようとしたつもりか?」


「当たり前だろ!テメェなんかに見つかったら三つあるうちの全部食われちまうのがオチじゃねぇか!!」


「よくわかっているじゃないか。そう思うなら大人しく残り二つのプリンを私に寄越すといい」


「ふざけんな!!一つたりともテメェにはやんねぇよ!!」


「そうですよX兄様!プリンは残り二つしかないんです!兄様が食べたらW兄様の分が無くなっちゃうじゃないですか!!」


「いや無くなっちゃうじゃねぇよ!お前なんでもう一つ食べる前提で話してんだV!!」



気づけばいつもの三つ巴、どう考えてもWが単に所有権を主張するだけではプリンは手に入らない状況になってしまっている。
こうなってしまえば余程のことがない限り彼らが諦めることは絶対にないだろう。



(ふざけんな……クソッ!!)



残りの二つも奪わんと迫りくる兄弟と必死に言い争い、そしてそれに続く掴み合いを繰り広げながら、想定されていた中でも最悪の展開にWは苛立ちを募らせた。
彼らにその存在を知られれば必ずこうなることはわかっていたのに、何故持ち帰って直ぐに食べておかなかったのかと昨日までの自分を呪った。

こうなればどうにかして自分の手で残り二つのプリンを死守するしかない。
このまま放っておけば図々しい兄弟二人に食べられることは目に見えている。

マッキーなどという貧弱なツールによって刻まれたWの所有権を主張するサインなど、今は何の役にも立たないのだ。



(取り敢えず今は実力行使でプリンを奪おうとする流れを断ち切ることが最優先だ……
VはともかくXに腕力で勝つ自信はねぇ…体格差がありすぎる……
どうにかして奴らが無理矢理奪いにくるのを阻止するには―――)



WはふっとXに掴みかかっていた手から力を抜くと、二歩ほど下がり彼らから距離を取る。
戦線から一旦離脱することでこの流れを変えることが目的だ。



「まぁ今こんなことをやっててもしょうがねぇ。
お前らがここにある二つを食いたいと思うことは勝手だが……
すぐに手を付けることは賢明じゃねぇな。
食べるのは昼過ぎ…もしくは夕方にした方がいい。
そうしなきゃ場合によっては損するかもしれねぇ」


「…なんだと?」


「どういうことですか?W兄様」



(よし…二人とも食いついてきた…)



掴みはこんなもので良いだろう。
疑うような目を向けてくる兄弟達と駆け引きをするように、Wは続ける。



「あと一時間足らずで昼飯だろ?
今日は仕事も休みだから高級フレンチの店を予約しておいたんだよ…最高級のな。
今すぐプリンなんてカロリー高いモン食ってたら料理が腹に入んなくなんじゃねぇのか?」



つまり、今から他の兄弟二人を力尽くではね除けて冷蔵庫のプリンを口に放り込むことは賢明ではないということだ。
レストランの予約など勿論出任せでしかないが今はそうするしかない。
今は相手の動きを止めることが最優先だ。

Wが言葉の裏に隠していたのは心理戦に持ち込もうというこの意図だったが、同じ立場に立つVは直ぐ様それを理解できた。



(なるほど…考えましたね、W兄様)



この戦いでは焦って生き急いでしまうことが命取りだ。
Vは冷静な頭でそれを分析し、判断する。



(これはプリンを力尽くで奪いかねないX兄様への牽制……もみくちゃになってしまうのを防ぎたいということか…

これなら僕も不意打ちでプリンをかっさらって口に掻き込むなんて荒業をしなくて済む…
あんなに美味しかったんだ…出来れば二つ目もお腹が空いている状態で味わって食べたいところ……

これには僕も乗っかるしかないな…W兄様が本当にフレンチを予約したかなんて最早関係ない…

まずはプリンを安心して食べれる環境を整えるべきだ…!!)



それならば、自分もWの意見に同意してやるのが正解だ。
Vはさっきまでの争いを忘れたように表情を和らげると、考えを同じくする次男に同意した。
ここでXのことも誘い込むのは自分の役目だ。



「うーん、そうですね…やっぱりお昼ごはんも美味しく食べたいですし…
プリンを食べるのは後にしましょうか。冷蔵庫に入れておけばいつでも食べられますしね…それでいいですか?X兄様」


「…あぁ。
確かに悪い考えではないかもしれないな。私自身腕ずくで君たちからプリンを奪うようなことはしたくない…今大切なのは誰にそれを食べる権利があるか、ということだ」



Vさえ乗っかれば後は話が早い。
次男に厳しいXも末弟には甘いようで、譲らないわけにもいかず渋々それを承諾した。

ここまではWの計算通りと言っていいだろう。

Xの強情ながらも用心深い性格はWがよく知っている。
僅か一パーセントでも危険性を掲げられればそれを警戒し、下手を踏みそうな手は絶対に打たない。
こういう人種にはハッタリが一番良く効くのだ。

しかもWならばともかくVに誘われたとあってはXも乗らざるを得ない。

プリンの存在がばれ動揺している精神状態から出てきた言葉にしては我ながら効果的だったと思う。

これなら皆が平等に立ち平和的に解決できる。
あとは何かと理由をつけてこの二人をプリンを食べられない状況へと追い詰めるだけだ。

問題はそれをどのように行うか、なのだが。


(さて…プリンの安全は確保したとしてこれからどうするか…
単純に俺が所有権を主張してもいいがそれで奴らが簡単に引き下がるとは思えない…

やはりここは一人ずつ潰していく方が無難……
まずはXだ…乗せやすいとは言え奴は何を考えているかわからない…

もう既にプリンを一つ食べているVとしてもその方が都合がいいだろう…
Xと一対一で争うよりは本来の持ち主である俺に取り入って譲って貰う方が遥かにやりやすい筈だ……)



テーブルの傍に腰掛け横目でチラリとVを見る。
この中で一番立場が弱い三男は困ったような顔で二人の兄の顔色を窺う。



「困りましたね…ここには三人いるのにプリンが二つ…誰かが我慢しなくちゃいけないってことじゃないですか…」



やはり既に一つ食べてしまったという事実は大きいのか、なんとか話を前に進めようとはするもののVは全く攻めきれていない。
やはり彼は自分一人で闘うよりも兄のうち一方と結託し一方を潰すことで生き延びようとすることだろう。

つまり、こちらが攻めるような姿勢を見せればVは必ず加勢してくるということだ。

ならばWがXより先手を打つのに越したことはない。
先にXに動かれてはVと協力した上で押し切られてしまう可能性が出てきてしまう。

仲間になり得るであろうVの立場を自分なりに推測し切ったWは、以上の考察に基づき無理矢理でも構わないのでとにかくXへの攻めに専念することにした。



「なぁ。忘れてるかも知れねぇけどこれ元々俺のモンだからな?
お前らさえ来なければこんなことにはなんなかったんだよ。
俺が一人で食う筈だったのに図々しく手伸ばしやがって…特にX。

Vはともかくお前は何もしてねぇ癖にプリンだけ食おうとは虫が良すぎるんじゃねぇのか?
前もこんなことあったろ。俺が買ってきたケーキ知らないうちに勝手に全部食ったの忘れたとは言わせねぇぞ」


「…?
何の話だ?勝手なことを言うな。
そんなことをした覚えはない」


「とぼけてんじゃねぇ!俺逹がデザートにしようとしてとっといたらいつの間にか無くなってたんだよ―――なぁV!」



この流れを作ってしまえばXを追い詰めることはいとも容易い。
Wの敷いたこの土台にVが乗るだけでXに反撃の隙を与えず一気に攻め込むことが出来る。

二人で協力して一人を落とすにはこの上なく好都合な条件なのだ。



―――が、しかし。



「うぅん…そんなことありましたっけ…?
…ごめんなさい、あんまり憶えてないです」


「―――!?」



Vの口から出てきたその言葉は、Wが期待していたそれとはまるで正反対のものだった。



(馬鹿な…!!こいつ……何故乗ってこない!?)



予測を裏切ったVの返答に、Wの策が一瞬にして切り崩される。

同時に覆された状況の検討を試みるが焦燥感に支配された頭には何故だ、という疑問符しか浮かんでこない。

実例まで挙げて一気に畳み掛けたこの時がXを蹴落とす最大のチャンスだった筈だ。
実際にその記憶がなくともここでWに同意することで加勢しておけばXを交えた三つ巴の戦いを避け、更にはWに恩を売ることにも繋がったのだ。

しかし、それにも関わらず、Vは降りた。

Wの策には乗ってこなかったのだ。



(どういうことだ…俺じゃなくXの方に付いたってことか…?
いや…まさかな…この状況での力関係は間違いなく奴より持ち主である俺の方が上だ…
だが…今Xを落とさなかったと言うことは……)



思わぬ計算違いにやや冷静さを失いかけているWは横目でチラリとXを見やるが、彼が何かを仕掛けた様子はない。
得意気に口の端を上げて「ほら、そんな覚えはないと言っただろう」と笑うだけだ。

Wは目の端を吊り上げてキッと相手を睨み付けてやるが、Xがそれに動じる様子は全く無い。



「そんな目で見るな。
何故そんなことでムキになっている?そんなに私にプリンを食べさせたくないのか?

…君は何か勘違いをしているようだな、W。
私は君の為を思ってそれを食べてやろうと言っているんだ」


「!
…なんだと……?」



ゆっくりとXは反撃を始める。

言わずもがなだが、Xにとっても一番の宿敵はW。
この弟がこの場に居てしまえば、Xは永遠にプリンを手にすることは出来ない。
略奪者にとって厄介な持ち主は、この場で確実に消しておきたい相手なのだ。


Xは焦ったりはしない。
言葉を交わさずとももう一人の弟との連携は取れている。

胸に宿る執念の炎を隠すかの如く冷静に、そして穏やかに彼は言葉を続けた。



「簡単なことだ。
W、君はそのプリンを仕事帰りに受け取ったと言ったな。誰からだ?」


「……?
ゲストで出た番組のスタッフだよ。俺のファンなんだって言ってな」


「そうだろうな。
だが…こんな話をよく聞かないか?
メディアでの露出度が高い人間はその分批判の目も向けられやすい。君をスターとして持て囃す人間と同じ分だけ気に入らなかったり邪魔だと感じている人間もいるということだ」


「…………だからなんだよ」


「もう少し警戒しろということだ。

ファンと自称する女から渡されたプリン……それは本当に安全と言い切れるのか?
君を消し去ろうという悪意の込められたものである可能性をどうして否定できる?

安全だという確証の無いものを食べるべきではない。
万が一があれば明日や明後日の仕事やナンバーズ狩りに響く。
この家で稼ぎ手は君しかいないんだ。自分だけの身体だと思うな。

しかしだからといってそのプリンを棄ててしまうのも勿体無い…そこで私やVの出番だ。

関係の無い私達が食べてしまえば悪意ある相手の思惑を外すことが出来るし、捨てることにもならないのだから善意を持っていた場合も相手に失礼はないだろう?

私達は身を削って君が貰ってきたプリン食べてやろうと言っているのに…むしろ感謝されたいくらいだ。
それをまるで欲望に任せたような言い方をするなど無礼にも程があるな。少し頭を冷やせ」


「…………ッ!!」



まるで狙いすましていたかのようなXの言葉によりWの状況は更に悪化する。
さっきまでは自分が攻め込んでいたというのにまさか一瞬にして構図を逆転されるとW自身もは思っていなかった。



(相変わらずだな…Xの奴……
わけわかんねぇ御託並べやがって…!!)



傍から見れば正しいのは明らかにWでありXのそれは単なる逆ギレでしかないのだが、それを指摘してくれる常識人は残念だが此処にはいない。それでは意味がないのだ。

先程の「私達」という発言からVもXと同じ側に引き入れられたのだから下手に口を出すようなことはないだろう。
放っておけばWの為という口実のもと、簡単にプリンにありつくことが出来るのだから。

Xはそこまで計算してこの攻めを展開してきている。

流石は幼い頃に父の研究に携わってきた頭脳派だ。
やはり、一筋縄ではいかない。



だが、



(甘いな………お前は、相変わらずだ)



突破口がないわけではない。
ここでXが気に掛けているとしたのはWの身体のことではなく以後数日の仕事のことだ。
W自身の心配をしなかったのは「俺なんかよりお前達の身の安全が第一だ」と反撃されることを恐れてのことだろうが、逆に感情論に走らなかったことがWにとっては救いだった。
柄にもなく不自然な発言をするより合理的かどうかという方向で動く方がずっとやり易い。

スケジュール管理をVに任せたことが幸いした。
今のWには万が一があっても仕事が疎かにはならない理由があるのだ。

口の端を不敵に歪めながら、WはXに語りかける。



「お気遣いどうも…
だが、それは俺がお前らにプリンを譲る理由にはならねぇな―――何故なら」



自身の端末を取り出し、Vから送られてきた一週間のスケジュールをモニターに映し出して見せる。
そこにはいつものように整然と並ぶゴシック体の文字はない。
モニターを見やるの三人の目に映るのはただ真っ白な空白、それだけだった。



「俺は今日含め七日間オフだからだ」


「―――!!」



それはつまり、仮にWがそのプリンによるダメージを受けて体調を崩し仕事が出来ない状況になったとしても、当面一週間は影響がないであろうことを意味していた。
何故なら、元々仕事など入っていないのだから。

Vによる片寄ったスケジュール調整がこんなところで役に立つとは思ってもいなかった。
『W兄様も夏休み、欲しいですよね』と笑いかけてきたVがWを休ませるためにと予定を七日間も無理矢理空けてしまった時は狂気の沙汰だとさえ思ったが、今思えばそれが彼の思いやりの結晶であり、Wを勝利へと導く一手だったのかもしれない。

WはXを前にニヤリと挑発的な笑みを浮かべた。
これが幼い時から培われてきた自分とVとの絆だ。
数年間離れて暮らしていた上に高がプリンのためだけに結託したお前とのそれとは違うんだよ、と。



だがこのとき物事を誰より甘く考えていたのは実はXではなく、他の誰でもないW自身だったのだ。
Vの甘い物に対する執念はWの想像を遥かに越える場所に存在していた。


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