待ち合わせ場所に指定した噴水の前に、九十九遊馬は俺より早く着いていた。こいつが遅刻しないなんて珍しい。遊馬は俺を見るなり顔を明るくして、「ベクター!」と駆け寄ってくる。最期に会ったときとそう変わらない姿だった。唯一違っているのは、隣にアストラルがいないこと。

「ずっと学校来なかったからさ、心配してたんだ。シャークや他の七皇のみんなにきいてもしらないって言うし……お前どこ住んでんの?ちゃんと飯食ってる?」

 この馬鹿のことだ、本気で心配していたのだろう。適当に頷くと遊馬は「まぁ元気そうだからいいけどさ」と言って笑った。
 ハートランドシティの外れにあるアパートからこの場所まで歩いて二十分ほど。町の景色は以前から少しも変わっていなかった。よく昼寝をしていた河川敷も、買い食いしたパン屋も、低い建物が並ぶなかそびえ立つハートの塔も。ここがバリアン世界と一体化しようとしてたなんて嘘のようだ。
 闘いの痕はない。それを消し去ったのは、ヌメロンコードによる歴史の書き換え。俺が壊した道路や建物も、もうすっかり元通りになっている。
 当時の景色が残っているのは、それに関わった者達の記憶のなかだけ。

「じゃあ、始めようぜ」

 待ち合わせ場所に着く前から、ずっと楽しみで仕方がなかった。そうとでも言うかのように、遊馬は準備を始めた。
 広く場所を取って向かい合う。ここならきっと邪魔されない。
 デュエルディスクを展開、Dゲイザーをセット。ARビジョン、リンク完了。
 夕焼け色に染まった空間が、0と1のコードで埋まる。舞台を整えて、互いにデッキから五枚のカードを手に取った。
 デュエルの始まりを、宣言する。

* * *

 お願いがあるんです、と零が言った。皿を洗っていた手を止め、俺は零を振り返る。真剣な眼差しがあった。卓袱台の前に膝をつき、奴は真っ直ぐな視線を俺に投げ掛けている。「何」俺は短く答えた。

「遊馬くんに会って、デュエルしてくれませんか」

 零の声は切実だった。そんな姿を見て、やはりこいつは真月零なのだと確信する。どうしようもない本体である俺に救いを与えようと必死なのだ。俺は笑った。

「遊馬やその愉快な仲間達がお得意の、『デュエルすれば何かが見つかる』ってやつか。それでお前は、俺に何を見つけてほしいわけ?」
「新しい楽しみを、見つけてほしくて」

 零の言葉に迷いはなかった。

「人間界には楽しいこと、もっとたくさんありますから」
「誰かに嫌がらせするとか苦しませるとかブッ殺すとか、それ以外の?」
「はい。それ以外の」

 至って真剣な声に溜め息が出る。こいつは俺のカウンセラーにでもなったつもりなのだろうか。――いや、正確にはカウンセリングを遊馬に任せようとしてるのか。頼んでもないのに迷惑な奴だ。

「……馬鹿かよ」

 俺はやれやれと首を横に振った。

「てめぇにいいことを教えてやる。人間てのはそう簡単に変われるモンじゃねえんだよ。それこそドン・サウザンドの干渉だとか、無理にねじ曲げようとする力が働かない限りはな。俺の性格が問題だと思ってんならそいつは諦めろ。直すのは無理だ」
「そんなことありません。だってベクターは、最期に遊馬くんを道連れにしなかったじゃないですか」

 その言葉に俺が無意識に目を見開いたのを、零は見逃さなかったらしい。奴の表情が柔らかさを取り戻す。堪らず目を逸らした。

「……あれはあいつの馬鹿さ加減に呆れただけだ。あそこまでしぶとい奴は初めてだった」
「それも同じです。遊馬くんを生かすことを選んだのはベクターじゃないですか。
 死んでほしくなかったんでしょう、遊馬くんに」

 それはまるで、綺麗な思い出話でもするかのように。バリアンとしての生を全て否定され、奪われた悪夢のことを零は嬉しそうに語る。
 それは多分、俺の手を握った奴がいたからだ。俺がそいつを巻き込んで殺そうとしたときも、そいつは俺を拒まなかったからだ。一人にしないと言ったからだ。
 俺が最期に、笑ったからだ。

「嬉しかったんですよね。自分のことを見てくれる人が出来て、遊馬くんが僕達のこと、守ってやるって言ってくれて。あんなふうに思いをぶつけられたの、初めてだったんですよね」

 温度の通った声が内側に響く。自分を覆っていた膜が剥がされたような気がして堪らなくなる。
 それでも、強い言葉は出てこない。

「……てめぇなんかに、俺の気持ちがわかってたまるかよ」
「わかりますよ。だって、君と僕は同じなんですから」

 そう言って、零がにっこりと笑った。

* * *

 真っ白な光。
 目も開けられないような突風が体を煽った。
 最近のARはよく出来ている。視覚だけでは収まらない衝撃に尻餅を付くと、デュエルの終わりを告げるブザーが鳴り響く。
 勝者は九十九遊馬。
 情けないことに、俺は奴のライフを半分も削りきることができなかった。

「ベクター!大丈夫かよ」

 驚いたように駆け寄ってくる遊馬を見ていると情けなさに笑えてくる。俺はこんな餓鬼に、為す術もなく叩き潰されたのか。ナンバーズを持たない九十九遊馬に。本気のデュエルでこいつに負けるのはこれで二度目だ。勝ったことは、ない。

「お前あんなふうにふっ飛んじまうからすげーびっくりしたんだ。痛かったろ?ごめんな」

 目の前に手が差し出された。遊馬にとっては、それが当然のことのように。少し迷ったが、俺は無言で奴の手を握り立ち上がった。

「大丈夫か?どっかぶつけてない?目覚めたばっかりなのに怪我したら大変だろ」
「なんともねえよ。そんなことよりお前、そのデッキ……」

 服についた土埃を払いながら、遊馬のデュエルディスクに目をやった。ナンバーズを使わない、愛用のモンスターエクシーズを展開していく新しいデッキ。「ああ、これな」と、少し照れ臭そうに遊馬が言った。

「アストラルとデュエルしたときに使ったデッキなんだ。一人でデッキ作るのは久しぶりだったけど、今までのオレの集大成。結構上手く出来てるだろ?」

 『結構』どころの話ではない。今までの動きを残しつつ、下級モンスターとモンスターエクシーズのシナジーを最大限に高めた、遊馬のデッキの完成形だ。俺が思っていたより遥かに、強い。ナンバーズを失った半端な俺のプレイングでは、到底太刀打ちできない程に。

「そのデッキで、ナンバーズを全部揃えたアストラルと闘ったのかよ」
「ああ。アストラルもめちゃくちゃ強かったぜ。あいつさ、ホープを全部フィールドに揃えたちまうんだ。すっげー感動したよな。今までのデュエルで一番燃えたかも」
「勝敗は?」
「勝った」

 遊馬が歯を出して笑った。

「あれは最初から、アストラルがオレに前に進む決意をさせるためのデュエルだったんだけどな。それでもあいつは本気だったと思う。約束通りアストラルと全力でデュエルして、それで勝てたっていうのが、めちゃくちゃ嬉しいんだ」

 俺は遊馬の言葉を、黙って聞いていることしか出来なかった。
 前に進むためのデュエル。何処かできいたような言葉だった。零の望み通りだとすると俺にとってそれは、さっきのようなデュエルだったのだろうか。少なくとも遊馬はそんなふうに思っていないだろう。昔みたいにデュエルを通じて誰かを説得しようとか、救ってみせようとか、そんな強い意思は感じられない。こいつはただデュエルを楽しんでるだけだ。何を懸けるわけでもなく、互いの戦術を披露し競いあうだけの、お遊びのようなデュエルを。
 俺はこいつに完敗した。
 忘れかけていたものが、少しずつ形を取り戻していく。

「……さっきのが、お前がアストラルにぶつけたのと同じレベルの『全力』ってわけだ」

 そこから何かを感じたわけではない。遊馬の姿に心を動かされたとか、そんなことは決してない。
 ただ俺は、こいつに勝ちたいと思った。お遊びだろうと関係ない。負けっぱなしは性にあわない。
 腑抜けたプレイングをするばかりで、本来のデュエルスタイルを忘れていた。相手の性格から、カードの性質から、戦略を完璧に分析し、予測する。あらゆる手法で相手を自分のペースに引き込み、デュエルをコントロールする。
 そうでなければ面白くない。おれは常にそうやって、勝ってきた。

「てことはだ。そのデッキを使うお前を倒せば、この俺はお前よりも、アストラルよりも強いってことになるんだな?」
「え?」

 隅っこに投げてあった遊馬の鞄を開け、カードケースを取り出した。デッキには入れられていない、大量のカードが束ねられている。遊馬が止める隙も与えず、俺はその場に中身を広げた。

「ちょっ……ベクター、何やって――」
「使ってねえカードを借りるぜ。今から俺はお前に勝つためだけのデッキを作る。てめぇもせいぜい何枚か中身を入れ換えて次のデュエルに備えるんだな」

 一枚一枚効果を確認し、役割ごとに分類する。遊馬はぽかんとした表情で俺を見ているだけだったが、すぐに心得たらしく「おう、望むところだ!」と自分のデッキ調整を始めた。さすがデュエル馬鹿は話が早い。
 使えそうなカードを見るだけで口許が緩む。遊馬のストレージはまさに宝庫たった。一枚では非力なモンスターカードも、発動条件の限定されたカードも、俺なら使いこなせる。やってみせる。遊馬のデッキの動きを完璧に封じる戦術を、俺は既に練り上げていた。
 これなら、遊馬に勝てる。
 カードテキストを読み込みデッキを新しく組み立てながら、俺はすっかり久しい感覚の虜になっていた。

* * *

「僕はあなた自身なんですって言ったら、信じてくれますか」

 しゃがみこむようにして座っている零と目線を合わせると、奴は真正面から俺を見た。

「人間でいうところの二重人格じゃなくて、完全なる同一人物。正確には、ベクターの中に僕がいるんです」

 俺と同じ顔に嵌め込まれた紫色の瞳。そのなかにじっと見つめる俺の姿が映り込んでいる。俺の目も、同じように零の姿を映しているのだろう。そのなかで「初めて僕を見たとき」零が、口を動かした。

「棄ててきた感情の寄せ集めだって思ったでしょう。それはあなた自身にとっては間違いじゃありませんが、外側から見れば少し違います。あなたは僕を棄てきることが出来なかった。要らない感情は隅っこの方に追いやって、目を背けることでなかったことにしたんです。
 さっきのベクター自身の言葉を借りるなら、人間はそんな簡単に変われるものじゃありませんよ。例え神様の力が加わったとしてもです。混じりけのない真っ黒な悪役になることなんて、残念ながらヒトには出来ません」

 諭すような零の言葉の内容はとても信じられなかったが、何故だか奴の声はすんなりと俺の内側に落ち、溶けていく。
 零の顔つきが記憶の何処かに引っ掛かると気がしていたが、それを今思い出した。
 国を愛し、国民が平和に幸福に暮らせるように心から祈った皇子様。
 こいつはそれに、よく似ている。

「気付いてほしかったんです。僕がずっとベクターの中にいたってこと。だからこうしてあなたの前に現れました。
 人間の心は表裏一体なんていいますけど、実際は表と裏みたいにわかれてるものじゃありませんよ。『友情ごっこ』してたときだって、騙されてる遊馬くんを嘲笑いながらも、心の何処かではこの時間がいつまでも続けばいいと思ってた。普通の幸せを手に入れたかった。
 そんな自分が確かにいたってこと、ベクターに知ってほしかったんです」

 零が微笑む。俺は何も言えなかった。
 本当は最初から気付いていたのかもしれない。
 初めてその姿を見たときから、零を受け入れられなかったのは。今まで零を突き放してきたのは。零の言葉の一つ一つが、こんなにも心の奥をつつくのは。
 自分がどうしたいのか。わからないまま手を伸ばす。触れることは叶わない。それでも。近付きたいと、初めて思った。
 ――零、お前は、俺は、あのときから、ずっと。

「ベクターが遊馬くんとデュエルしてくれたら、僕はもう消えます。こうして話をしてもらえただけで十分です。でも最後に、少しだけ僕のことを知ってもらってもいいですか。認めなくていい、ただ、きいてくれるだけでいいんです」

 そうして、零が息を吸い込んだ。辺りがしんと静まり返る。呼吸を合わせる。目を閉じる。

「僕は、」

 ――俺は。

「人の笑顔を見るのが好きです。

 決して希望を棄てない、遊馬くんのことが好きです。
 僕らのことを仲間と呼んでくれた、七皇の皆さんのことが好きです。
 真月零と仲良くしてくれた、ナンバーズクラブの皆のことが好きです。
 お惣菜をくれる、隣のおばさんのことが好きです。
 学校が好きです。
 勉強が好きです。
 お弁当が好きです。
 帰り道に食べる餡パンが好きです。
 皆とデュエルするのが好きです。
 この町のことが好きです。

 この世界が好きです。

 ベクターのことが、好きです」

 ――だから。どうか自分を、愛してあげて。
 誰かに甘えることを、許してあげて。
 やっと手に入れた、三回目の人生なんです。

僕達、
今度はきっと、誰よりもしあわせになれますよ。

* * *

「――ヴェルズ・サンダーバードで、ダイレクトアタック!」

 今度は遊馬の体が吹っ飛ばされる番だった。ARが散り、勝者として俺の名前が大きく表示される。勝った。一度も攻撃を通すこともなく、今度は、無傷で。

「痛ったたたた……くっそー、やりやがって……」

 数時間前の俺のように尻餅をついた遊馬が立ち上がる。近付いて、今度は上から思い切り奴を見下ろしてやった。

「バーカ。やっぱお前はわかりやすすぎなんだよ。さっきと似たよーな構築で俺に勝てるわけねぇだろうが。一回デュエルした俺は、お前に好き勝手された分そのデッキの動きを熟知してんだぜ?」
「わかってるけどよ……あそこまでのデッキをお前が作ってくるなんて思わなかったんだよ。何あれ?嫌がらせ?」
「だから言ったろ、お前に勝つためだけのデッキを作ってやるってよォ」
「それにしてもあれはないだろ……」

 納得いっていない膨れっ面の遊馬を前に、俺は盛大に高笑いする。完封するのは気分がいい。俺がしたかったのはこういうデュエルだ。
 遊馬のストレージに眠っていたカードと俺自身のカードとを合わせた、対遊馬用の嫌がらせデッキ。他の奴とデュエルする場合は勝ちを保証することは出来ないが、遊馬が相手なら勝率は段違いに跳ね上がる。俺が遊馬の性格や好みを熟知しているのもあって、発動や展開のタイミングは完璧だ。馬鹿正直なこいつになら、心理戦にも負けない自信があった。

「こーやってみると、遊馬クンも大したことねえなぁ。アストラルに勝ったっていうのも、実はまぐれだったんじゃないですか〜?あんな簡単なブラフにも引っ掛かっちゃってよォ。あそこで攻撃してりゃあお前の勝ちだったのに」
「だってあれはないだろ!ライフを半分も払って伏せカードを守られたら、さすがにオレだって攻撃を躊躇わずにはいられねえし。本っ当にお前、嘘吐くの上手いよなぁ」
「ありがとよ、最高の誉め言葉だぜ」

 するとまた遊馬が渋い顔をする。「大体あのカードは普通のデッキには入らないし……」と何やら愚痴愚痴言っていたが所詮は負け惜しみだ。勝った者が正義。二戦目にデッキを大幅に変えることは同意の上だから、今更何を言われたところで聞く耳は持たない。
 遊馬の小言はそれから暫く続いたが一通り言うとそれで満足したのか、ふっと力の抜けた表情に変わった。
 両手を上げて、大きく背伸びする。

「――ま、いいや。今日はベクターも楽しそうだったし」

 何が、と俺が訊くよりも先に遊馬が言った。

「本当はちょっと心配してたんだ。最初のデュエルのときお前全然気合い入ってなかったし、もしかしたらこれでやめちゃうんじゃないかって。
 でも全然そんなことなかったな。お前もオレたちと同じようにデュエルが大好きなんだって、それがわかってオレ、めちゃくちゃ嬉しかったんだ」

 ――皆とデュエルするのが好きです。
 反射的に零の言葉を思い出した。あいつはずっと、そんな気持ちだったのだろうか。何を懸けることもなくそれ自体を、勝つことを目標にしてデュエルをする。相手のライフを削ることに夢中になる。それを楽しむ。
 遥か昔に棄てた筈の、忘れかけていた感情だ。
 デュエルは征服するための手段。カードは相手の命を削り取る武器だと、ずっとそう思い込んでいた。

「またやろうぜ、デュエル。次はお前のデッキにだって負けないようなすげーの考えてくるからさ。
 他の皆も呼んでいいだろ?実は今日ここに来る途中にシャークや他のバリアンの奴らに会ってあいつらもお前とデュエルしたいって言ってたんだけど、二人きりの約束だからって断っちゃったんだ」

 今はまだ、零の全てを受け入れることは出来ない。今までの自分も否定しない。人の不幸は蜜の味。一度心に残った黒い染みは、消えることなく永久に残り続ける。誰よりも俺が、一番よく知っている。
 それでも、今日は何かが変わる気がした。

「……まぁ、いいんじゃねえの。どうしても俺様に会いたいって言うなら、特別に相手してやってもいいんだぜ」

 自分の声がいつもの調子で上手く出ているかわからない。それでも遊馬が聞き取るには十分だったらしく、奴は「よっしゃ!」とガッツポーズして早速Dゲイザーでメールを打ち始めた。気付けばもう夕暮れ。今日はこれでお開きだろう。足元から伸びる二つの影を見るのは、随分久し振りのことだった。

 決して希望を棄てない、遊馬くんのことが好きです。僕らのことを仲間と呼んでくれた、七皇の皆さんのことが好きです。この世界が、好きです。
 生まれ変わって初めて、この世界で生きたいと思った。暗いあの部屋で終わってしまっても構わなかったのに、気付いてしまった。俺はデュエルがしたかった。また新しく始められるのなら、遊馬と、そして俺を『許す』と言ったあいつらと、残された時間を過ごすのも悪くないと思えた。

(……なんだよ)

 笑みが溢れる。気付くだけで、こんなにも変わる。拍子抜けするくらいに、それは簡単なことだった。

(楽しみなんて、すぐそこにあったじゃねえか)

 遊馬が俺の手を引く。帰りは餡パンを買っていこうか。川原に腰を下ろしてそれを食べながら、もう少しだけ話をしてやってもいい。俺の前に現れたもう一人の自分の話をしたら、こいつはどんな顔をするのだろう。会いたいなんて言うのだろうか。それともやっぱり自分が信じた通りだと、そう言って笑うのだろうか。
 坂道を駆け下りながら景色を見下ろす。
 あいつらがいるこの町のことを、今なら好きになれるような気がした。



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