(甘酸っぱい夏の果実)



ジリジリと太陽が照りつける。目を閉じていても瞼の裏に黄色い日差しを感じるほどだ。露出したうなじにはじんわりと汗がにじむ。



「ん、んぅ…はっぁ…」


クチュクチュと屋外に唾液の交わる音が響いている。
口内を荒らすようにねっとりねっとりと舌を絡められ、時々思い出したように吸い付いてくる。
歯列をなぞり、うわ顎をつつくようにすれば、日番谷の口からは甘い吐息があふれ出す。


市丸は服を力なく握ってくるその小さな手を、ガシャンとフェンスに押しつける。
自分の手と日番谷の手と、フェンスとを一緒に絡めて握ると、小さな指はぴくぴくと反応した。苦しそうに眉根を寄せ、硬く目をつむる日番谷はひどく扇情的だった。


「んっ、は…んぅ」



深いキスには未だに慣れない。自分の口内に何か知らない生き物が侵入してきたようで、何とも気持ちわるい。ぬるぬるした感触がくすぐったい。だけどそれが、たまらなく気持ち良かった。


腰の奥がむずむずして、甘く痺れるような感覚が襲う。力が抜けて、立っていられなくなる。
ズルズルと地面に落ちようとするが、市丸によって阻まれた。


「はぁっ…は、」


長い長いとろけるようなキスから解放されたお互いの唇は、銀色の糸によって結ばれている。太陽の光に当たって、それは一瞬きらめいた。


息はきれ、日番谷の翡翠はとろんと色香を放っている。市丸…、と力なく見上げてくるその姿に市丸は頭がくらくらした。



細い長い指を日番谷のネクタイに絡める。しゅるっと音をさせてそれを解くと、白い鎖骨が現われた。


「は、ちょ…やめろっ」

「我慢出来ひん」

「ここ、どこだと思ってるんだ!」

「んー?学校の屋上、やね」


そう。さっきから熱いキスを交わしていたこの場所は、いつ誰がやってくるかわからない屋上であった。横目に見えるグランドでは、部活生がわいわい騒ぎながら走っている。
その活気のある声に、少なからず背徳感を感じて興奮したのは事実だった。


「な、やめろって!何も学校ですることねえだろっ?」

「そんなこと言うて、しっかり反応しとるやん」

「ふぁ、触んな…っ!」


激しいキスのせいで、すっかり膨らみをおびた中心を軽く握られると、ビリリ、と痺れるような感覚が襲った。
無理矢理立たされている足ががくがく笑う。


「僕とのキス、そんなによかった?」

「別によく、ねえよ…ひっ!」

「素直やないなぁ」


制服のシャツの間から手を差し入れて、薄い胸を撫でまわす。ぷくっと立ち上がった飾りに触れてぐりぐり押しつぶすと、日番谷の口からは高い声が漏れた。


「正直に言うてくれたら、家まで我慢したるよ。どうする?」

「………っ」

「な?屋上なんかでやるのいややろ?言うて、…冬獅郎」


日番谷はこの一言に大きく反応した。正直にキスの感想を言うだけで、屋外での行為は回避できる。その事実が日番谷を饒舌にさせる。
さらには市丸の低い甘い声で呼ばれた名前のせいで、脳内は甘く痺れていた。



「…ッきもち、よか………って言わせんじゃねえよバカ!」

「あは、めっちゃ嬉しい」

「言ったんだから、約束……まもれよ」

「はいはい、」


本当は、たとえ日番谷が口にしたとしても強引に屋上で決行するつもりだった。
けれどこんな、純粋で可愛い恋人を見ていたら、嘘をつくのがとてもいけない事のように思えてきて…。


とりあえず、お楽しみは自分の部屋までとっておくことにした。





暑い日差しの中、心臓をばくばくさせながら二人はほとんど無口で家路についた。

自宅のベッドに押し倒した頃には、どくんどくん、と鋼のように脈打っていた。
まるで、初めて身体を交わらせたときのように、二人とも緊張していた。熱い身体が少し触れるだけで、破裂しそうなほど高鳴った。





こういうところが甘い言われるんやろなぁ…。



などと思いながら、市丸はぷっくり熟れた唇にそっと口づけた。
また、甘い熱い深い口内を味わうために。





END





かのちゃんー!!!
ごめんなさい遅くなりましたm(_ _)m
しかも勝手にエロ風味いれちゃって…(苦笑)ほんとすみません。
リクエストは学パロで夏な二人、だったんですが…。

夏あんまり関係ねえぇぇえ!!
てか学パロも全然活かせてないぃ…


でも、初めてちゃんとしたちゅー描写書いたような気がします。すっごい楽しみながら書きました!
ふう、あんまりエロくならなかったな…。


まぁそんなこんなですが(?)受け取って頂けると嬉しいです。


相互リンク本当にありがとうございました!
末永くよろしくお願いします!


2009.8.12
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