我慢できない!






男子高校生の頭の中なんて、そのほとんどをピンク色の妄想が占めていると言ってもいい。
口を開けばその手の話ばかりだし、気を抜けばすぐにそういった類いの妄想で頭がいっぱいになる。

それは市丸も例外ではなく、頭の中はいつも同室の日番谷のことでいっぱいだ。
風呂上がり、上半身裸でうろつくルームメイトの姿を見てはあの肌に吸い付いたらどんな感じなんやろうとか、聞いていて心地よいあのテノールは喘がせたらどんな音になるんやろうとか。


毎日そんなことばかり考えていた。



幸か不幸か、日番谷がそれを知るはずもなく、自分がそんないやらしい目で見られているとは露ほども思っていない彼は惜しみ無くその白い肌を晒してくれる。
今だってすっかり安心しきった表情でベッドに寝転んで音楽を聞いている。イヤホンを耳に差し込んで、ご機嫌にたまに口ずさんだり。
そんな様子も可愛らしいのだけど、何せ脳内ピンク色の市丸は、さっきから短パンからすらりと伸びた白い足に目が釘付けだ。
同じ人間で、どうしてこんなに白くいられるのだろうと思う。市丸も大概白いと言われる方なのだが、この透き通る白さには及ばない。
全くと言っていいほど日に焼けていない肌。全身、それこそ服を纏っていて見えないはずのところも真っ白なのだろうと思うと、どうしようもない興奮が湧きあがってきた。


触りたい


触りたい


脱がして、触って、舐めて、全てが見たい



身体がかあっと熱くなって、やばい、このままじゃいつか確実に襲ってしまうと脳内がファンファンと警告音を鳴らしている。
拳を強く握っていないとワキワキと勝手に手が動きだしてしまいそうだ。


「あーッ!あかん!」


もう我慢の限界だと叫んで自分のベッドにダイブする。枕に顔を押し付けて、すっかり熱くなった身体を落ち着かせようとする。なんだか喉の奥がどくどくする。


「……なんだよ?どうした?」


部屋の反対側に備え付けてあるベッドの上から、突然叫んでベッドへと倒れこんだ市丸を訝しげに眺める日番谷。今まで耳に差していたイヤホンを外し、俯せ状態から起き上がる。

「……なんでもあらへん」

「そうか?変なの」


それだけ言い残してもう一度ごろんと横になった日番谷は、んーっと伸びをして誘ってるんじゃないかと思うくらいナイスなタイミングで腹チラをした。
見なきゃいいのに、思わず視界に入れてしまった市丸はまた一気に心臓が跳ねて、あーッ!と叫ぶハメになった。





End
――――――
ちゃきさんのお誕生日にプレゼントしたものです。

寮生パロで理性と闘う市丸が書きたくなって、突発的に書いちゃいました。

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