★患者×ナース♂
2011/06/27 07:45
シンと静まり返った深夜の病棟にけたたましくナースコールが響く。夜勤の当番だった日番谷は病室へと急いだ。
「市丸さん、どうされました!?」
病室まで駆けつけて、どこか悪化したのだろうかと不安に思いながらベットを覗くと、市丸は真っ赤な顔をしていた。
「どうした、気分悪いか?」
「看護師さん…ボク、」
「ん?」
「……たってもうた」
至極言いにくそうに、もごもごと小さな声で呟いた。
市丸は車との接触事故で両腕と右足を骨折しており、先日この病院に運ばれてきた。これほど派手な事故で頭を打ってないことは本当に不幸中の幸いといえる。
まぁつまり、両腕が使えない状態であるのだ。
「たった、って何が…」
「そらその…ボクの息子的な」
「はあ?」
「手ぇ使えへんし、看護師さんなんとかしてぇな」
「そ、それくらい我慢しろよっ!」
「無理やて…もうこないなってもうたもん」
「み、見せんでいい!」
布団をぺらりとめくって服の上からでも分かるくらいに反応している様を見せつけられる。
まったく、何を考えてこんなにしたんだか。若いって怖い。
「と、とりあえず寝てたらおさまるだろ」
「おさまらへんかったらどないするん…明日の朝包帯かえに来てくれる女の看護師さんに見られでもしたらボク…」
「それは……」
「お願いや、おんなし男やろう?恥かく前になんとかしてや」
まぁたしかに。そういうことは同性のほうが頼りやすいんだろう。それにこの病棟には自分以外に男の看護師はいないし。
仕方ねえ…
「わかった。…ささっと済ますから目瞑って好きな人でも想像してろ」