テスト勉強




――12月

クリスマスが近くて皆がうかれだす月。
でもその前に……。

「明日からテストだ。早く帰れるからって、遊んでないで勉強するんやで。」

先生がクラスを見渡して言う。
皆はけだるそう。
私もけだるそうなクラスメートの一人で。
別に成績が悪いわけじゃない。
平均の中の平均。中の中みたいな成績。
ただ、それ以上いかないのがいつも悲しい。




「なまえー!今日いっしょに勉強せーへん?」
ホームルームが終わって、帰りの支度をしていると白石君が後ろから声をかけてきた。

「ん〜、どうしよっかな?」
もったいぶる様に首を傾げて笑うと、白石君は手を合わせてくる。
「な、な?俺んちおいで?お菓子だっておいしい紅茶だってだすで!」
必死な白石君が可愛くて、私はまた笑っちゃって。

「冗談だって。行かせてもらってもいいかな?」
私からお願いするのだった。




「お邪魔します。」
「いらっしゃい!」
白石君は私の横から家の中側に移動して、とびっきりの笑顔で向かえてくれた。

「失礼します。」
私は照れたみたいに笑って、白石君の案内で彼の部屋に行く。

白石君の家はきれいでとっても広い。
まさにイメージにぴったりだと思う。

「ここやで、俺の部屋。」

案内された部屋は綺麗で、とても整頓されていた。
白を基調とした部屋で、まさに白石君の名前と一緒だなって思った。

「ここで勉強するで!」
白石君は床に置かれた高くなくて、床に座って使うタイプの机を叩いて言った。

「あ、うん!」
私は頷くと滑る様に白石君の向かいに座った。

「ん。ということで俺となまえの勉強会や!明日からのテストの為に頑張るで!」
「おー!」



意気込んで私達は勉強し始めたはずです。

だけど…
白石君が気になって集中できない。
白石君が目をふせて教科書を見てるんだけど、その顔がきれいで、睫が長いのも見えて
しまうからみとれる。

私も教科書を見てるんだけど、目だけ動かして白石を見ちゃう。
それでときどき目が合いそうになると、私は慌てて目を教科書に戻すんだ。

「どうしたん?さっきから俺のことばっか見てへん?」
「違う見てない!」
顔が真っ赤になるのを隠そうと、教科書を顔の前で広げる。

「見てるやろ?」
白石君は笑いながら私の教科書を奪う。
離れていく教科書に手をのばすと、白石君はさらに遠ざける。

これは意地悪な白石君だ。
そう思いながらも、嫌な感じはせず、白石君の横に行く。

「返してよ!勉強できないじゃん。」
「駄〜目や。せっかくのなまえの可愛い顔が見れへんやろ?」
笑う白石君は立ち上がって、私が届かないように教科書を持った手を上にあげる。
私はそれを無意味にジャンプしてとろうとする。

と れ な い。

でもここで諦めたら負けた気がして嫌だ!
私は息をすって、おもいっきりジャンプした。

「ちょっ、なまえ!?」
思いっきりジャンプした私の体は白石君のとこへ、伸ばした手は教科書へ届いた。



が。



白石君のほうに体が倒れてしまった。

「ぉわっ!?」
白石君の驚いたような声が聞こえる。
「ゎわわ!」
白石君は背中を床につけるように倒れてしまい、私は白石君の上に!

「つ……。」
白石君はなんとも悲痛な声をあげた。

「ごめん…。重かった?」
「ん。背中が床にあたって痛かっただけや。」

嘘つき。
本当は重かったんだと思う。
そそくさと白石君の体の上からどこうとすると、腕をつかまれてそれを止めさせられる。

「白石君……?」
「もう少しだけこのままでおらへん?」
優しく笑った白石君に、私はうん。と頷いた。



2011.12.26



 

  back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -