疑問
「なまえー!おはよーさん。」
校行く為、朝家を出たら白石君がいました。
「し、白石君!?」
驚きを隠せない声で言うと、白石君はウィンクをする。
「迎えにきたんや。一緒に学校行かん?」
「う、うん…。」
白石君の横に行くと、白石君が優しく私の手をとる。
寒い中待っててくれたからか冷たい手に握られて、握りかえすと白石君は照れたように笑ってくれた。
その純粋な横顔を見て、私は思うんだ。
この人を好きになれたらどんなに幸せなのだろうか、と。
学校に着いて、謙也は私を見るなり笑顔で声をかけてくれようとしたんだけど、隣の白石君を見るなり去って行ってしまった。
私はなんでいきなり謙也と白石君の仲が悪くなったのか分からない。
でも分かるのは…、私が原因だということ。
「ね、白石君。なんで謙也と仲悪くなっちゃったの?あんなに仲良かったのに。」
白石君を見上げて尋ねてみても、白石君は「なまえには関係ない話や」と言って笑って誤魔化されてしまう。
私は謙也に聞くしかないのかな、と今は空の謙也の席を見て溜め息をついた。
「修羅場…ね。」
「美紀ちゃん!」
いきなり美紀ちゃんが縁起でもないことを言ってきたものだから、私はギョっとしながらも抗議するように彼女の名を呼ぶ。
美紀ちゃんはテヘペローとか言いながら席についていく。
私はまた溜め息をつくと、後ろから抱き締められて囁かれる。
「なんや?なまえにそんな顔は似合わないで。」
白石君はそう言って私の頭を撫でた。
私は撫でられる感触に目を閉じたけど、すぐに首をブンブンとふる。
「白石君のせいでもあるんだよ!」
「もしかして、俺のこと嫌いとか…?」
白石君はすごく不安そうに聞いてくる。
私は「違う違う!」と慌てて否定した。
「ならどうしたん?」
「だから…、なんで謙也と白石君の仲がいきなり悪くなったのか分からなくて。」
私はうつむいて呟くように言う。
ただただ気になっていた。
「そんなに気になるん?」
私はコクコクと頷いた。
白石君は何故だか一瞬寂しそうに笑って言う。
「そないなら、謙也に直接聞かんくても分かるで。というか、聞くの少し待っといてくれへん?」
私はその言葉を頭で1つ1つ理解していったはずなのに、さらに疑問符が増えてしまった。
「なんで?」
「ん。いつか謙也から言ってくると思うから、決意とかな。つけさせたってくれへん?謙也の為や。」
「白石君…。」
やっぱりまだ謙也と白石君は親友のままなのかな、と思う。
だって、仲悪そうに見えて白石君は謙也の゛為゛ってものを考えてる。
だから、謙也も多分白石君のことは考えてるんだと思う。
表面上は仲悪くても、心の何処かでは仲良いんだなって。
そう思うと笑みが自然と口から溢れてしまう。
「俺は真剣な話をしてたはずなんやけど…。」
白石君も苦笑いする。
けれどお互い顔を見合わせると、今度は本当に大笑いしてしまって。
すごくすごく、楽しかった。
*K.O
何でなんや?
俺がなまえのこと好きで相談してたのに、白石は裏切ってなまえの彼氏になったなんて。
確かに俺がなまえのことをふってしまったのが悪い気もするんやけど、俺から告りたかったんやし。
だから、白石だってそのまま俺の相談相手のままでいてくれるのが嬉しかったのに。
酷すぎるやろ。
いや、悲しすぎるわ。
白石とこれからもテニスとかやりたかったのに。
たくさん話して、白石からの恋愛相談だって受けるはずやったのに。
悲しすぎるやろ。
でも、諦めたくないんや。
なまえが大好きなんや。
年月の差は埋められないんやで、白石。
2011.12.21
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