ひたすらまっすぐに




冬休みがあけた。

「おはよ、蔵。」
「おはよう、なまえ。」
私が家を出ると、蔵が待ってくれていた。
横に行って手をつなぐと冷たかったから、だいぶ外で待ってくれていたことが分かる。
この前みたいに手をつないで歩き出した。
ただ違う所は…私から手を重ねたのと、両思いってこと。



学校で教室につくと私は謙也のとこへ行く。
机の前に立つと、謙也は顔をあげた。

「謙也。あのね、」
「なまえ……。」
私が話しかけたのを遮って謙也は私の名前を呼んだ。
「私ね、蔵と付き合ってるんだ。」
今は白石君が好き、というのを言葉に込めて伝えた。
「そうなん。応援しとるで。でも……」
謙也は怖いぐらいに笑って言う。
「白石が嫌になったらいつでも俺のとこおいでや。迎えてやるから。」
それは゛諦めない゛という言葉が置き換えられている気がした。
私は頬が紅くなるのを感じながら頷いた。



「俺の家泊まりにこん?」
昼休み、蔵と二人で寒いからか誰もいない屋上でお弁当を食べていたら、急に言いした。
びっくりしすぎてむせちゃったよ。
咳を何回かしたあとお茶を飲んでいると、蔵は背中をさすってくれる。
「ど、どうしていきなり…?」
蔵を見上げて言うと、彼はニコリと笑ってきた。

「今度の休みな、家族が俺を残して旅行行ってしまうんや。寂しそうやろ?なら俺の可愛い彼女を宿泊させようと思ってな!」
可愛い、を強調して彼は言った。
「でも、迷惑だよ。」
「迷惑なわけあらへん!俺、寂しいんやって。な?」

蔵が綺麗な顔を近付けて、涙で潤んだ目でジッと見てくる。
そんな顔で見られたら頷くしかなくなるよ。
「分かった。行くね。」
これ以上彼を見ていられなくて、私はうつむいて言った。
「ほんま!?なまえ大好きやぁ〜!」
ギュっと抱き締めてくる。
あまりにも嬉しそうで、私も見て微笑んでしまった。

「可愛いパジャマよろしくな!」
まるで遊園地に行くのを話していたときの私みたいに、蔵は笑顔でお願いしてくる。
うん。
これはパジャマを買いかえなくちゃいけないパターンですね。
分かりました。

「分かった分かった。蔵はかっこいい服だからね!」
「またそれかい!?」
蔵の突っ込みがいい感じにはいる。
あぁ、幸せだな。
大好きな人とお弁当を一緒に食べて、抱き締められて、お願いされて。
前は謙也と以外はありえないと思ってたけど、本気で好きになった人がいるとこうも違うものなんだ。
「蔵。私ね…」
彼の腕の中で呟く。
「なんや?」
彼は甘く囁いてきた。
息も耳にかかってくすぐったい。

「私ね、幸せ。」
「俺も。」
空気は寒いのに、蔵に抱き締められてあったかかった。
それは体もだけど、心だってそう。
幸せで、心があったかい。

だから私は思うの。
貴方から離れたくないって。
そのまっすぐな愛を私だけに向けてほしいと。


2012.1.3



 

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