完璧




「だいぶ乗ったね。」
「そやな。」

白石君の顔がオレンジ色になっている。
もう夕方だった。

あの後、私が(半強制的に)コーヒーカップに乗ったり、絶叫系アトラクションに乗ったりした。
次第に白石君も 普段通りになって、私はほっとする。
ベンチにまた座ってホッとしてたときに、白石君は気をきかせてくれたのか言った。

「ちょっと飲みもん買ってくるな!」
「うん!」

売店まで駆けていく白石君を眺める。

やっぱり彼はかっこいいと思う。
整った顔立ちにサラサラな髪。
声もイケメンだし、おまけに優しい。
こんな完璧な人の横が私でいいのかな。

とか思ってたら、白石君に女の人が話しかけてる!
その人も、すごくきれいな人。

私は息をはいた。
やっぱり白石君も、彼女はきれいな人の方がいいだろうしな。

「ね、ね。君。」
「え、あ、はい!」

声をかけられて、反射的に答えて声のした方向を向く。
けれどすぐに後悔する。
そこには三人の大学生ぐらいの男の人がいたから。

「なんですか?」
可能な限り、嫌悪感を口調にこめる。

「うわ、気が強いわぁ!」
リアクションが大きかった。

「ね。一人なら遊ばん?」
一人が座ってる私と同じ目線になるように、足をまげて言ってきた。

「無理です。」
「いいやないか、な?」

その人はしつこいみたい。
「連れがいるので。」
私は白石君のほうを見た。
白石君はまだきれいな女の人と話していた。
なんか心が痛くなる。

「ほら。知らん女の人と話してるやん。いいやないか。彼女ほっぽって、違う女と話してるような奴ほっといても。」
「………。」

ほっとかれてほしくはなかった。
妬けてしまう。

「ほな、行くで。」
強引に私は腕をひかれて、しかも相手の力が強かったから抵抗なんてしても無駄で引きずられていく。
「やっ。助け…、白石君!」
「どうせ聞こえてへんって。」
男の笑い声が耳につく。
嫌だ、と腕をふるけど離してはくれない。



「彼女、俺の連れなんやけど。」


低い声が聞こえた。
敵意丸出しの、重厚感のある、それでいて頼ってしまいたくなるような。

「白…石君、」
「お前ら、早く離し。彼女も嫌がってるやろ。」
彼がいちだんと大きくみえた。
ずっと一緒にいたい。そう思える。

「チ。分かったよ。離せばいいんやろ!?」
腕を離され、私は白石君の後ろに行く。

「でもお前が違う女と話してて、彼女寂しそうやったで。」
そう残して、男達は去っていった。
「……すまへんな。」
そう言って白石君は、カフェオレをわたしてくる。
「大丈夫だよ!」
それを受けとる。
寒いのを考えてくれたのか、カフェオレはあったかい。
手で包みながら私は提案した。
「ね。最後に観覧車乗らない?」


2011.12.29



 

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