遊園地




今日はクリスマス。
私は精一杯の可愛い服を着て、待ち合わせ場所に30分前からいました。

「さすがに早く着すぎちゃったかな。」
風が冷たい。
しかもスカートにニーハイだから、風をけっこう感じてしまう。

「寒い…。」
小さく呟くと、いきなり後ろから抱き締められる。
後ろを振り向くと、白石君が笑顔でいた。

「来るの早いね。まだ30分前だよ。」
「なまえだって早いやろ。楽しみにしとってくれたんやなぁ。」
「う、うるさい……。」

下を向くと、白石君は私の横に来て手を私のに絡める。

「手冷たいで。」
「手袋忘れたからね。」

笑いながら握り返すと、あったかさが伝わってくる。

「でも手袋しとったら、なまえの手にじかにさわれなくなってたから、これでええ気がするけど。」
「そうだね。」

気恥ずかしくてうつむく。
でも白石君は私の顔をのぞきこんで言った。

「言い忘れとったわ。今日のなまえ、めちゃかわええ。」

もう私の顔は真っ赤だったと思う。
頑張って白石君の方を見て私も言う。

「ありがと。白石君もかっこいいよ。」
「おおきに。なまえの可愛さには負けるんやけど。ほな行こうか。」

白石君は私の手を引っ張って歩き出した。





「混んでるね。」

遊園地はやっぱりカップルでこんでいた。
なんかキスしてるカップルもいたりするから、どこに目を向けていいか分からなくなる。
白石君の背中に照れたように顔をうずめると、彼は「かわええなぁ」と呟いた。

「そそそそそんなことより、早くアトラクション乗ろ!まずはジェットコースターからね!」
「動揺隠せてないで。」

そんな白石君の腕をひっぱって、私は乗り場に走った。






「なんか疲れた…。」
「そやな。そこのベンチに座らへん?」
「うん!」

白石君が指さしたベンチに二人で座る。
ジェットコースターはすごく速かった。
ネズミーランドの宇宙マウンテンと同じぐらいの速さな気がする。
しかも、それで坂道を落ちたりするんだもん。
死ぬかと思うぐらいだった。

「速かったねー。」
「なまえの顔、可愛かったで。特に落ちるときの顔!」

白石君はびっくりするようなことを言ってきました。
まさか…

「見てたの!?」
「ばっちりと。」

そう言って白石君はウィンクした。

白石君は怖くなかったのかな、ジェットコースター。
いや、怖がってたら私の顔なんて見れないか。

「…ったく。」

白石君に寄りかかると、体に腕を回してくれる。
顔をあげると、白石君の顔は驚くほどすぐ近くだった。

唇が触れてしまいそうなぐらいに。

「あっ…。」

小さく声をあげると、白石君は私の頬を手で包んでくる。
キス、してしまうんじゃないか。
私はまだ白石に好きって言ってないのに。
白石君の顔は妖艶で、スッと見下ろしてくる。

そのまま顔が近付いてきたんだから、私はギュっと目を瞑る。

けれど、キスはふってこなくて。
目を開けると白石君はとても悲しそうな顔をしていた。

「すまへんな、なまえ。ついつい、や。」
「大丈夫だよ、白石君。だからそんな顔しないの!」

私は白石君にピンっとでこぴんする。
白石君は笑うんだけど、やっぱり陰があって。

「ほら、次行こ、次!」

私は立ち上がって白石君の腕を引っ張る。
白石君を笑わせるには、私が元気でいるしかないんだ。

そう思って、次のアトラクションに向かった。




2011.12.29


 

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