危険なものはすぐ近く

真っ暗な空間と青白いボンヤリとした光。不気味な演出に寒気がする。私は怖くて隣のブン太の腕にしがみついた。


「なんだよぃ?怖いならお化け屋敷なんて誘うなって。」
「だって入りたかったんだもん。」


実際は怖がりなんて思われたくなかったから、見栄をはってしまっただけ。だけど入らななければよかった。すごく後悔する。お化け屋敷に入ってしまえば更にビビリなのが露見してしまうから。



「キャァアア!」


いきなり現れた骸骨に思わず叫んでしまった。よく見れば理科室にあるような骨格模型だと分かるのだけど、いきなりの演出に弱い。お化け屋敷作った人も、よく工夫しているなんて頭の片隅で思った。


「もっと色気ある声で叫べよ。」
「だって…、怖いから仕方ないじゃん!」


というかお化け屋敷で私に何を求める。叫び声に色気なんて追求しないでほしい。
不意に私はブン太に肩に手をかけられて引き寄せられた。何事かなんて見てみると、ブン太がすごく優しい顔で笑っていて、「俺が守ってやるよ」なんて囁かれたのだから胸の鼓動が早くなるのを感じた。
普段は可愛くて、いざというときは頼りあるなんて反則だ。なにこのギャップ。


「出るまでこうしててやるから。」
「ありがと…。」


温かい。彼の体温に温められるのを感じた。さっきまで全身を包んでいた恐怖感も和らいだような気がする。


「さ、行こうぜ。」
「うん!」


ブン太の腕に引かれるように歩いていく。出口までもう少し。頑張ろうって思えた。ブン太の顔を見上げて目が合うと、優しく微笑まれる。私も笑い返して前を向いた瞬間―――


ヌメリと首に濡れたものが這った。


「ひゃっ……」


首に手を触れると確かに濡れていて。でも周りを見てもその原因は見当たらなかった。ただブン太が私のすぐ隣にいただけ。


「ププっ」


いきなりブン太が笑い出した。怪訝そうに見ていたら、ウインクをして彼は言った。


「舐めたの俺。」



危険なものはすぐ近く


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