年に5回ある定期テストの一回目が終了した。いろんな意味で。
いつもならもっと点数がとれるはずなのに、丸井くんが私の精神を揺さぶったから。例えばそのせいで勉強が手につかないときがあったり、一週間前に丸井くんに脅されて出かけてしまったし。無理にでも勉強しておけばよかった。今更そんな後悔をする。


「すげーだろぃ?この80点代の連続!」


私の点数を下げた原因の丸井くんは何故か点数が良い。しかもそれを私に自慢してくるのだから、私のテンションはさらに下がった。。
放課後でもう皆帰ってしまい、教室には私と丸井くんが机1つ挟まず向かい合っているだけ。あー、また嫌な予感しかしない。


「それに比べてみょうじは勉強したのかよ?俺の記憶ではいくらお前が苦手な国語だって50点をとるような奴じゃなかった気がするんだけど。」


丸井くんが原因だとおもいっきり叫んでやりたい。けれどそんなことしたら、「犯されたいんだ」とか言うに決まってる。伝えたいことを自由に伝えられないことってこんなにもイライラするんだ。
回答用紙に視線を落として溜め息をつく。そこには何度瞬きをしても58点と示されていて。無機質な紙の白さにその文字だけがよく映えていた。


「うー。理系志望だけど苦手は作りたくないのに。」


そう呟くと、それに興味を持ったみたいで私に顔を近付けてきた。


「将来の夢とかやっぱ理系なのか?」
「うん。情報工学とかやってみたい。でも国際系とかホテルの仕事にも興味あるし。」
「ホテルってラブホ?うわ、エロっ!」
「違うって!そもそも丸井くんにエロいなんて言われたくない!」


そもそもラブホテルの従業員はバイトだろう。私はそういうのじゃないのに。それに普通将来ラブホテルの従業員になりたい、って言う人なんているわけない。世の中の常識を分かってほしい。
とにかく、と丸井くんは呟いて笑った。


「将来の夢あるなんて羨ましいな。」


その笑みにドキっとした。だって時々見せる笑みが眩しいから。嫌でも惹かれてしまう。


「う、ん。」
「じゃ、結婚願望とかもありそうだな。どんな人と結婚したい?」


なんで将来の話から結婚願望に話が移る。唐突すぎないか。そんなことを思いながらも、まぁ丸井くんらしいかなんて納得して答えた。


「特に考えてないけど、愛し愛される人がいいかな。」


なんか照れる。私は赤くなった顔を隠すようにうつむいた。なにを答えさせるんだ、この人は。
肘をついてそっか、とか笑いながら頷いてる丸井くんに腹がなんとなくたって、「丸井くんは?」って聞き返した。


「俺は、一緒に堕ちてくれる人。どこまでも、な。」


意味が深いなんて思った。どこか、その言葉の意味の奥にさらに意味が隠されているような。
丸井くんと一緒に堕ちる人は誰になるんだろう、どんな人なんだろうか、なんて考えていたら、不意に顔の両側に手が添えられて丸井くんの唇に私のが重なるように強く引き寄せられた。
またあれだ。そう思ったら確かにそれで、いきなり唇をこじあけられて、舌が入ってくる。いきなりすぎてなんの準備もしていなかったから、正直酸素がつらい。小突いてみても、丸井くんは私の意思を無視するし。無理矢理息を吸おうと口を開けたら、さらに入ってきて吸えない。ただ彼の舌が私の口内を犯す。
クラクラしてきて、もう駄目なんじゃないかなんて思ったら、彼の唾液が口に入ってきたのと同時にはなされた。


「な、お前は俺と堕ちてくんないの?」


息が止まるかと思った。


20120714


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