ガッコーから商店街を抜けて少しだけ長い道のりをちづちゃんと歩く。
ちっちゃいから大丈夫かなぁって思ったケド、ゆっくりだったから疲れてないみたい。
よかったぁ。もし疲れちゃったら車呼ぶつもりだったよぉ。
店が見えてくると、扉の前にいたヤツらがオレとちづちゃんを見て無言で扉を開ける。
うんうん、昨日の今日で顔を覚えるなんて偉いねぇ〜。
ちづちゃんは慣れてないみたいで昨日と同じようにオレの後ろに隠れちゃったぁ。
ホント可愛すぎて困っちゃうよぉ。
店ん中は相変らず踊ったり歌ったりみんなバカ騒ぎしてるしぃ。
これはちょーっとうるさいんだよなぁ。
ウンザリしてたらマスターがオレに気付く。
「おや銀二君、お疲れ様です。そちらの方は?」
「コッチはオレのオトモダチ。」
「ぁ、遠野千鶴ですっ。」
ぺこんってお辞儀するとウサ耳カチューシャもぴょんって動く。
やっばー、可愛い!可愛すぎるよ、ちづちゃん!!
ぎゅーってしたらアワアワして余計可愛いの。
「あ、ピアノ使ってイイ〜?」
「構いませんが、今は志貴(しき)さんがいらっしゃるかと…。」
「ダイジョーブ。泰河には言ってあるよぉ。」
「でしたらどうぞ使って下さい。」
ちづちゃんの手を引いて奥のVIPの方へご案内ー。
廊下もかなりうるさかったケド、専用エレベーターで上に上がればすぐに静かになって、二階の廊下に出るとちづちゃんは辺りをキョロキョロしてんの。
ほんっと小動物だよねぇ。
ピアノの音が響いてて、余計に気になるみたい。
部屋の前にきて、扉を開けたらピアノの音はハッキリする。
ソファーにはやっぱり泰河が座ってて、オレが入ったら思いっ切り睨まれちゃったぁ。
しかもピアノも止まっちゃったから、ちづちゃんもションボリしちゃうしぃ。
「…銀二、お疲れ。」
「うん、お疲れぇ。」
ピアノのところからしーちゃんが声をかけてくる。
珍しいなぁ、しーちゃんが自分から喋るなんてぇ。
すぐにジッとちづちゃんを見たから、しーちゃんも気になったみたい。
「オレのオトモダチだよぉ。」
「と、遠野千鶴ですっ。」
「…豊永志貴(とよなが しき)。」
「志貴さん、ですか…?」
「ん。」
軽く頷いてしーちゃんがピアノの椅子を軽く叩く。
ちづちゃんの背を押してあげればおずおず近付くんだもん。
しーちゃんって見た目も中身も草食っぽいケドなぁんか侮れないんだよねぇ。
まぁちづちゃんの場合はただの人見知りなんだろーけどぉ?
代わりにしーちゃんは立ってちづちゃんにピアノを譲ってあげてて、オレびっくり。
ちづちゃんのコト気に入ったのかなぁ。
しーちゃんは泰河の横に座って目ぇ閉じちゃうし。
「ちづちゃん、ピアノ弾いてぇ?」
「え、でも…。」
「ヘーキだよぉ、誰も怒んないってぇ。」
オロオロしてて可哀想だったからちづちゃんの横に立った。Prev Novel top Next