8時くらいになってくるとクラスメートが段々増えてきた。
みんなちづちゃん見たらビックリしてたなぁ。
女の子とかは可愛い!ってニコニコしながらちづちゃんに話しかけてくるの。
だよねぇ、やっぱり可愛いよねぇ?
照れながらちょこっと笑ってるちづちゃんを寝たフリして盗み見ちゃった。
「髪型も可愛いね!」
「どこでやってもらったの?」
「ぁ、竜造寺くんに…。」
「え、それって‘あの’…?」
そう、あの竜造寺泰河にだよー。
視線を感じたけど無視して寝てたら女の子たちは羨ましいって騒いでた。
泰河って基本女の子寄せ付けないもんねぇ。
女が嫌いじゃなくて、あのキャピキャピしてんのがウザいんだってぇ。
まぁ、その気持ちも分かるけどね。
だからちづちゃんみたいに騒いだりしない女の子にはけっこー優しかったりするんだよ。
…あ、なんか今イラッってしたかも。
ダメダメ、いくら泰河でもちづちゃんはあげないよ?
それに泰河にはもうしーちゃんがいるから、他の女の子はいらないもんね。
「なぁ、遠野ってあんな可愛かったっけ?」
「前髪長かったから分かんなかったけど、結構いいよな。」
「俺告白してみよっかなぁ。」
「え、マジで?」
遠くから聞こえてきた声にムッとする。
告白〜?そんなことオレがさせると思ってんのぉ?
ちょーっと教えてあげなきゃダメかもなぁ。
ふぁあぁって欠伸しながら机から起き上がったら、ちづちゃんがおはようってあいさつしてくれる。
それにオレもおはよぉって返すとニコっと笑うの。
…ちづちゃんって何しても可愛いなぁ。
「今日の授業って移動教室あったっけぇ?」
「えと、二時間目に…生物室に。」
「そっかぁ。オレちょっと遅れちゃうかもぉ。用事ができちゃったぁ。」
「? じゃあ、先生に言っておく…ね?」
「うん、おねがぁーい。」
カチューシャに当たらないように頭を撫で撫でしたら、恥かしいって。
ちづちゃんってもしかして、男と付き合ったことないのかなぁ。
だとしたらオレが一番最初?
うっわー、それマジ嬉しいんですけどぉ。
聞こうと思ったらセンセが来ちゃった。
覚えてたら昼休みにでも聞いてみよーかなぁ。
隣りで一時間目の授業の準備をするちづちゃんを見てたら、なぁんかホッとするんだよねぇ。
机に突っ伏すると少しだけ甘い匂いがした。
優しくて、甘くて、ふんわりした香り。
ちづちゃんが何か言ってたけど、オレってば早起きし過ぎてすぐに寝ちゃった。
ごめんね、ちづちゃん。Prev Novel top Next