まだちょっと涙目だけどぉ、泣き止んでくれてよかったぁ。
ちづちゃんたら一生懸命泰河に謝っててペコペコ頭下げてるのぉ。
オレが止めなきゃずーっと謝っちゃってたかもねぇ。
ちょっとしゃくりながらチビチビご飯食べてる姿もカワイイ過ぎて、ジーッて見てたら恥かしそうに俯いちゃった。
「んで?何で来なかったんだよ?」
残ってたオレのパンを食べながら泰河が不満そーに聞いてくる。
勝手にオレのお昼取らないでよねー。
「んー、ちづちゃんにまた明日〜って昨日言ったしぃ、オレ嘘つきになりたくなかったからぁ?」
「チヅチャン…?」
「うん、この子ぉ。」
ちづちゃんを指差したらぺこんってお辞儀して「遠野千鶴です…、」ってご挨拶。
でも泰河があんまりジロジロ見るからまたすぐに俯いちゃう。
ダメだよぉ、そんな不躾に見たらちづちゃん怖がっちゃうじゃーん。
「誰だよ。」
「えー、オトモダチ?」
「はぁ?お前の口から友達とかマジありえねぇ。槍でも降らせるつもりか?」
「ひっどー。オレだってオトモダチくらいいるんだけどぉ。」
オレと泰河で言い合ってたら、ちづちゃんがそろーっと声をかけてきたの。
なんて言ったと思うー?
「あの、お名前を…聞いてもいいですか…?」
って!泰河のコト知らなかったみたい!!
このガッコーというかぁ、ここら辺で泰河のコト知らない子なんているんだねぇ。
オレは薄々感じてたけど泰河ったらビックリして間抜けな顔してんのぉ。
マジウケるんですけどぉ!
「俺の事知らないのか?」
「ぁ、ご、ごめんなさい…わたし、噂とかに疎くて…。」
「…竜造寺泰河(りゅうぞうじたいが)だ。ってか敬語とかいらねぇよ。銀二とクラスメートなら俺とも同じ学年だ。」
「は…あ、ぅ、うん。」
溜め息ついた泰河はさっきよりもちょーっとだけ目元を緩めた。
ちづちゃんに警戒する必要もないしねぇ。
そもそもちづちゃん威嚇なんてしたら、それこそ泣いちゃうんじゃないかなぁ。
お弁当を食べ終えたちづちゃんがちっちゃな手でちっちゃなお弁当をハンカチで包んで、キレーな蝶々結びにするのを見てたら泰河が物言いたげーにオレのこと見てんの。
言いたいコトはぁ、なんとなく分かるケド、お話は後でねぇ。
落ち着かないのかなぁ。ちづちゃん長い前髪を弄ったりしてる。
すっごく邪魔そうだし、前髪で目元とか見えにくいし、なぁーんか気になっちゃう。
俯いてたちづちゃんの前髪に触ったらビクッてしたけど逃げたりはしないんだよねぇ。
代わりにすっごく慌てちゃってるのもカワイイー。
ケド、前髪ちょこーっと上げてみたらコレまたビックり。
ちづちゃんの顔ってばチョー可愛かったの!
目が大きいのは少し見えてて知ってたケド、睫毛長いし、二重だし、実はちょっとタレ目で、恥かしいのか目元がほんのり赤くなっててぇ。
隣りに座ってた泰河も固まってたしぃ?
化粧とか全然してないけどそれでも全然問題ないくらい。むしろ化粧とかしないほうがイイのかも。
とにかくすっげぇ可愛くて、でもすぐにオロオロちっちゃな手が視線と一緒に彷徨っちゃってかわいそーだったから離してあげた。
「ちづちゃん前髪切らないのぉ?もったいなーい。」
「その、前髪ないと、落ち着かなくて…。」
「えー、カワイイのにぃ。」
前髪で隠してるより、出してた方がぜーったいイイよぉ。
「そーだ、泰河に切ってもらったらぁ?」
「はぁ?」
「イイじゃん。泰河そーいうの上手いしぃ。」
オレの言葉にちづちゃんキョトンとして泰河を見てるの。
泰河って喧嘩ばっかしてるし、ちょーっと豪快なトコもあるケド、実はすっげぇ手先器用なんだよねぇ。
だからオレなんてよくカットしてもらっちゃってるしぃ?
おっきな瞳がオレと泰河を交互に見てて、困ってるなぁってすぐに分かっちゃう。
「言っとくが今日は何も持って来てねぇぞ。」
「だったらEarthquake(アースクエイク)で切ればイイじゃん?」
「あ?連れてく気かよ?」
「だってオレちょー気に入っちゃったもーん。」
泰河が思いっきり眉寄せてて、怒ってるように見えるケドぉ、ホントは困ってるだけなんだよねぇ。
まぁちづちゃんみたいな一般人連れてったコトないからぁ気持ちは分かるよぉ。
だけどオレってばちづちゃ逃がす気なんてないしぃ、どーせならコッチに引きずりこんじゃえば逃げられなくなっちゃうからぁ。
それに気付いたっぽい泰河ってばまた溜め息吐いちゃってぇ。
ちづちゃん不思議そうにオレらのコト見てるしぃ。
あー、そんなキョトンとしたちづちゃんもカワイイー!
「ねぇねぇ、ちづちゃん今日の放課後あいてるー?」
「え?う、うん…あいてる、よ?」
「んじゃ前髪切ろーよぉ!ちづちゃんぜぇーったい前髪切った方がカワイイもん!」
「マジでやんのかよ?」
「モチ!あったりまえー!ダイジョーブだよ、ちづちゃん。泰河チョー上手いし、マジプロ並だから。」
ちょこっと強く押してみたら少し迷ってたみたいだけど、うんって頷いてくれた。
放課後はEarthquakeに行くコトになって、オレはちょー嬉しい。
だってそれって、オレとちづちゃんがもーっと仲良くなれるってコトだしぃ?
ちづちゃんは怖がるだろーけど、放課後がすっげぇ楽しみぃ。Prev Novel top Next