「鈴。」「あ、龍之介先輩!…あれ、今日は壱佐先輩はいないんですか?」「あぁ。今日は休みだ。」「そうですかー…。」「親友は?」「今日からレンちゃんとは別々にお昼を食べることにしたんです。」「…喧嘩でもしたのか?」「違いますよー。…あたしが我が儘言ってお願いしたんです。そうすればレンちゃんもこの間の人ともっと長くいられますから。」「別にあの二人が付き合ってる訳じゃねぇだろ。」「はい。でも、きっとレンちゃんはあの先輩に会いに行くと思います。」「何でそう思うんだ?」「理由はないんですけど…だけどあの先輩といたときのレンちゃんが、女の子に見えたんです。」「(…。)」「あたし、レンちゃんに甘えてばっかりで…。あたしが居たらレンちゃんはいつまでもずっと一人なんじゃないかって。」「…泣くなよ。」「っ、ごめんなさ…っ。」「(お互い考え過ぎだろ、お前ら。)泣きたいなら泣いとけ。」「っ、ひっく、ぅえっ…レンちゃ、ひっくっ、」「(俺としては嬉しい限りだけどな。)」(狼の喜び、子羊の涙。)Prev Novel top Next