「…漸く空きましたね。」「コッチは何時もガラ空きなんだ。」「へぇ…あまり利用する人がいないんでしょうか?」「…潰れたら困るな。」「植物園までの足がなくなってしまいますからね。…わ、海ですよ、海っ。」「好きなのか。」「はい。広くて、綺麗で…自然は全般的に好きです。」「…そうか。」「でもカナヅチなので泳いだりは出来ませんが…。」「泳げない…?」「海限定ですよ。広くて、大きくて、深くて。怖くて足も入れられません。」「…今度、海にも行ってみるか。」「ええ?ボクの話聞いていましたか?本当に泳げませんよ?」「特訓だな。」「(あ、笑った。)」「困ってんな。」「黒豹が何か言うてるなぁ。」「そーですか?レンちゃん、ちょっと嬉しそう。」「…どこがや?」「分かんねぇ。」「本当に困ってたらハッキリ言いますよ、レンちゃんは!でもどっちかと言うと、嬉しいけど不安な感じかもしれません。」「何の話してるんやろね。黒豹の笑った顔なんて貴重やわ。」「普段無表情だしな。」「うー…レンちゃーん…。」(車窓から望む景色に未来を描く。)Prev Novel top Next