スクアーロ生誕祭201 | ナノ

品定め


夜の任務。暗殺だ。今日はとある有名企業の社長の暗殺というまぁ小さな任務なのだが、イタリアでのそのような任務があるということはだいたいどこかのマフィアか相当な精鋭のいる護衛を雇っている可能性が高い。つまり、油断は禁物だ。その社長はなかなかのVIPしか入れないカジノにいるらしい。入るためにはブラックカードがいる。それはスクアーロ隊長が持っているらしいので問題はない。イタリアの街の地下に入り、綺麗な女性の受付にブラックカードを見せる。すると、受付は張り付けたようなマニュアル通りの笑顔で通るように指示した。

このようなところに入るにはそれなりに着飾らなければならない。ましてやヴァリアーの隊服なんて着ていけば、バレてしまう。私なんかは随分と背中の空いた露出度の高い真っ白なドレスを着ている。スクアーロ隊長も超有名ブランドのものを着ている。すぐにバレないようにスクアーロ隊長は髪を結い、眼鏡をかけていた。

計画はこうだ。その社長の居場所を突き止めた後、部下がブレーカーを落とし、真っ暗にする。そこですぐに止めをさし、まもなく私たちは外に出る。

カジノの中に入れば、すぐにターゲットは見つかった。真っ赤な派手なドレスを着た女の腰に手を回し、下品な笑いをしていた。

『ターゲット発見』

私は小さな声で部下に連絡した。了解と返され、私はスクアーロ隊長のエスコートに着いていく。仕事とはいえ、ベルさんのもとで働いていたときはこんな仕事はなかったので、どうも緊張してしまう。勿論それだけでないことは私自身が一番わかっている。恐らくまもなく暗転する。それまでにターゲットの後ろにまわる。そして急に視界は闇に包まれた。女性の甲高い悲鳴や何事だと男たちの騒ぐ声も聞こえた。スクアーロ隊長がすぐに剣を出してターゲットに剣を振り上げたが。

『隊長!』

護衛がスクアーロ隊長に襲いかかった。物音に気づき、人々が出口へ駆け出した。隊長は、特にケガとかはないらしく、受け身もとっていたしすぐ立ち上がった。私は逃げられるのも面倒なので、その護衛とターゲットに向かってナイフを投げた。護衛の何人かには当たったようで、数人が呻きうずくまった。でもターゲットはまだだ。ナイフを投げたことで、私のもとに護衛たちが襲いかかってくる。どうも動きが機敏だと思えば、ターゲットも護衛も暗視ゴーグルをしていた。私は急いで鞄の中の暗視ゴーグルをかけた。これで私も普通に見えるようになる。急いでスクアーロ隊長にも渡した。護衛たちの舌打ちが聞こえ、私はそのまま銃を取り出したが、それよりも早く向こうの護衛が撃ってきた。

「こっちに来い!」

スクアーロ隊長に腕を引かれ、ビリヤード台を盾にして隠れる。そしてそのとき見えた。ターゲットが逃げるところが。

『隊長!ターゲットが逃げようとしています!私が銃で護衛の腕を撃ちます。その瞬間に追いかけてください』

「三つカウントしたら行くぞぉ!」

3,2,1とカウントした後、私は銃で撃ちまくっている護衛二人の腕を撃つ。命中したようで、悲鳴が聞こえた。同時に隊長が駆け出し、奴等を斬りつけ、ターゲットを追いかける。ターゲットは階段を上っている。

「クソがぁ!待ちやがれぇ!!!」

ターゲットの怯む声が聞こえた。暗視ゴーグルでよく見ると、ターゲットは足をもつれさせながらも階段を必死に上っている。もしかしたら間に合わない。私はすぐに銃でターゲットの脚を撃った。呻き声が聞こえる。これで大丈夫だろう。私は護衛の死を確認してスクアーロ隊長の後を追った。

「慈悲を…!」

ターゲットがスクアーロ隊長に命乞いをしているところだった。

「悪ぃなぁこれも仕事なもんでなぁ」

断末魔の叫びと共に剣が降り下ろされ、血が出る。任務完了だ。スクアーロ隊長が剣を一振りして血を落とす。二人の前には扉。恐らく裏口なのだが、逃走した人も多い。入ってきた扉から出れば何者かに捕まる可能性も否めないので、私たちは裏口から外に出た。部下に任務完了の連絡を入れる。慣れない白いドレスはところどころ血に赤く染まっていた。

「ケガはねぇかぁ?」

『はい。隊長は?』

「最初の一撃だけでかすり傷だぁ」

迎えの車に乗り込み、ふーっと息をついた。まぁ計画通りとはいかなかったが、とりあえず任務遂行はできた。



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