ミーには理解できません
朝10時頃。イタリアの街に珍しくカエルのないフランとなまえが一緒に歩いていた。昨夜任務から帰ってきてなまえがたまたま会えたフランをスクアーロの誕生日プレゼントを一緒に買いにいかないか誘ってみるとすぐにOKと返事が返って来たので、現在に至る。ベルは任務で今日の夕方頃帰ってくる予定で、ルッスーリアは朝から準備、レヴィ、スクアーロはアジトにいるだけである。
「にしてもー。悩みすぎですよーなまえはー」
『だって日頃お世話になってるじゃないですか…』
「またまたそれだけじゃないくせにー」
そう言うと言い返せないなまえは黙り込む。フランは大きくため息をついた。フランの手には、もうフランが買ったスクアーロへの誕生日プレゼントがある。なまえと言えば、あちこちの店に入って、ああだのこうだのと言いながら結局何も買わずに店を出るの繰り返しである。このままでは結局お昼までかかるかもなーなんてフランは思った。
「何買うか考えてこなかったんですかー?」
『考えたんですけど結局何も浮かばなくてここでこれだ!って思ったものを買おうと思って』
「へー」
すみませんと言いつつもなまえはまた新しい店に入る。別にあんなアホな隊長なんて結構何あげても喜んでくれると思うんですけどねー。アホだし。
またなまえは店から出てくる。
『すみません、お疲れですか?』
「まぁ疲れてなくはないですけどー気にするほどではないですー」
なまえはまた謝って店に入る。そして、その時。
『これすごく隊長っぽい!』
なまえのそんな声が聞こえた。
「どれですかー?」
『これです!』
目をキラキラさせながら、なまえはミーにそのお眼鏡にかなったものを見せる。まぁたしかにらしいといえばらしい。
「ま、いいんじゃないですかー?」
別にもらっても困るものではないだろう。
『じゃこれ買ってきますね!』
なまえはそう言って急いでレジへ向かう。時計を見れば、お昼ももう目の前だ。ここまで付き合ってやったんだからランチくらい奢ってもらおうなんて思う。そういや部下の女が美味しい店教えてくれたなーあそこ奢らせよう。
そんなフランの思惑なんて何もわからず、お待たせしました!ときれいな包みを持ったなまえが来る。
あんなロン毛のためにそんなに必死になれるのがミーにはよくわからないけど。でもそれでこそなまえなんだろう。やっぱりミーには理解できませんけどー。
『うわ!もうこんな時間!フランさんご飯でも食べていきますか?』
なんて好都合なお誘いだろうか。
「あー。いい店知ってますよー。もちろんなまえの奢りですよねー」
そんなことを言いながら、なまえとフランは路地裏に二人で入っていくのだった。
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