スクアーロ生誕祭201 | ナノ

ルッスーリアの暗殺部隊観察


なまえちゃんがスクアーロの部下になってから、少しスクアーロの生活ぶりが変わった気がする。ていうか、変わってる。前よりも自分の時間ができたように思う。まぁスクアーロだからできた時間は剣の時間にほとんど変わってしまうのだけど。

今も鍛練場で剣を振っている。なまえちゃんはきっとまた書類の処理とかをやっているに違いない。

ベルちゃんは未だ納得いってないみたいで、なまえちゃんを見かける度に戻ってこいなんて言ってるけど、でも何だかんだってベルちゃんもわかっているようだ。なまえちゃんがスクアーロのもとで働けるのが嬉しいことが。

『隊長!』

なまえちゃんが鍛練場に入る。

「なんだぁ!」

大声で返すスクアーロ。

『書類終わったので私もここに来ていいですか?もしよかったら剣も少し見てほしいです!』

「少しってのはまぁ無理だろうがなぁ。剣に関しては妥協しねぇ!来い!」

『はい!書類は隊長の机の上でいいですか?』

「ああ」

にこっと幸せそうに笑うなまえちゃんが退出した。よっぽど好きなんでしょうね。こんなにわかりやすいのにきっとスクアーロはわかってない。そして、恐らく自分の中で出てきつつある気持ちにも。私はスクアーロに声をかけた。

「スクアーロ」

「なんだぁ!!」

剣を振りながら答えるスクアーロ。やたらと声がでかい。いつも通りだ。

「スクアーロはなまえちゃんをどう思ってるの?」

そう聞けば、剣を振る手を止めた。

「どうって今までで一番の部下だなぁ」

このバカという言葉は言わないでおく。

「…まぁ、いいわ」

きっとこのバカが気づくのももう長くはない。そろそろ気づく。それがいつになるかは、あの子達次第ね。

『隊長!手合わせ願います!』

走って剣を持ってきて、その腰には銃が。

「よぉし!やっぱり相手がいるのといねぇのじゃあ気合いが違ぇからなぁ!!」

楽しそうに笑うなまえちゃん。そしてなまえちゃんに笑いかけるスクアーロ。

『あ、ルッスーリアさんも一緒ですか!?』

「いや、ちょっとスクアーロに用があっただけよ。もう終わったけど」

さて、ボスの間食の支度をしなきゃという言葉になまえちゃんは頑張ってくださいと言う。ええ、と返して私はその場から立ち去った。





ねぇ、スクアーロ。


気づいてるかどうかは知らないけれども、


あなたなまえちゃんといると少し笑いかたが変わるのよ?


少し、柔らかくなるの。





ルッスーリアだけが気づいているその事柄に、二人は気づかないまま剣と剣でぶつかり合ったようだ。

金属の衝突の激しい音をBGMに、ルッスーリアはキッチンにただ一人向かうのだった。



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