スクアーロ生誕祭2016 | ナノ
部屋に入れてから少し経った。スクアーロはシャワーを浴びてご飯を作っている。
「お前の冷蔵庫は飾りかぁ!?何も入ってねぇじゃねぇかぁ!」
『いつも買って食べてんの!悪い?』
仕方ねぇなぁと使い道もわからない実家から送られてきたものをスクアーロが調理している。
「お前もシャワーくらい浴びてこい」
『家主私だからね。覚えておいてよ』
何故か指図され、イラっときたので再確認させる。疲労感たっぷりの身体を癒すためゆっくりとシャワーを浴びた。
浴室から出れば、ご飯は出来上がっていて。
「おいなまえは食わねぇのかぁ?」
『飲んできたからいらない』
「ふざけんな!二人分作っちまったじゃねぇかぁ!」
『知らないよ』
冷えた麦茶を飲めば、身体を冷たいものが伝う感覚がある。
「いいから少し食え。頼むから」
『…少しね』
こんな時間に食べたら太るわと思いながらもスクアーロが作った何かに手をつける。
『え、おいしい』
「そうか。それはよかったなぁ」
黙々と箸を動かすスクアーロ。外人さんとは思えないほど箸の使い方が綺麗だった。
『つまり会社の人と音信不通だってこと?』
「まぁ早い話そういうことだぁ」
ご飯が終わった私達は互いの話をする。
スクアーロは出張で日本に来たが、諸事情で通信機器類が全て壊れてしまったらしい。普段は日本の拠点と連絡を取ったりするらしいが、それすらも出来なかったようで。
『まぁ不幸の連続だね。とっても可哀想』
「哀れむんじゃねぇ!」
『とりあえず、さっき入るときに言ったけど色々家事してくれるなら考えなくもない』
「仕方ねぇ…背に腹は代えられねぇからなぁ」
『随分日本語が堪能なんだね』
「そりゃあなぁ。俺は剣の修行に日本に過去に来たことあるからなぁ」
『剣道…?』
「まぁそんなところだぁ」
ふーん…となんとなく話を聞いて。
『どこで寝るの?』
「お前がベッドで寝るなら俺は床で寝る」
『…絶対何もしないでよね』
「何もしねぇって言ってるだろうがぁ!」
怒るスクアーロをうるさいと嗜める。
『明日のご飯はお魚がいいなぁ』
「マグロが食いてぇなぁ」
『大学生には難しいんだけど』
「真面目に働きやがれ」
『…出てく?』
「冗談きついぜぇ」
スクアーロの銀髪が電気でゆらゆらと光って見えた。
『銀髪って元から?』
「ああ」
その綺麗な髪に触れる。初めて銀髪なんて見たけど、こんなに綺麗な色をしているものなのだろうか。
『切らないの?』
「ちょっと約束があってなぁ」
『へぇ…意外とロマンチストなわけ?』
「うるせぇぞぉ!」
また吠え始めるスクアーロの髪を軽く引っ張りうるさいと叱る。本当一回言われたらそれで学んで欲しいものだ。
電気消していい?そんな私の声で初めての二人で過ごす夜は幕を引いた。