彼女
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ほぼ西の独白です。
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いつからだろう、こんな気持ちを抱くようになったのは。
今は俺の腕の中で眠る少女。
強く力を込めれば折れそうなほど細い体。俺があぐらをかいた上に彼女を乗せれば、俺の腕の中にすっぽりと納まるくらいに小さい。
なのに、彼女はイースや他の二人とともに、プリキュアとして俺たちの前に立ちふさがる。
気持ち良さそうにすやすやと眠っている彼女の顔をのぞく。
キュアパインとして向かい合う時は、あんなにも鋭い目つきで睨んでくるというのに。
実際に彼女と触れあうようになって、彼女が普段どんなに弱々しいかを知らされた。
今だって、彼女を支えているこの手で首を締めれば、彼女はほとんど抵抗することなくその力の前に倒れるだろう。
そんな彼女を。そんな彼女だから。俺は彼女を守りたいと思ってしまう。
敵だということは分かっているのに、どうしようもなくに愛おしい。
「……ん」
「起きたか?」
小さな吐息とともに、彼女の頭が動く。
ぼんやりとした顔で振り向いた彼女は、俺と目が合うとみるみる頬が赤く染まる。
俺は苦しませない程度に腕に力を込めて抱きしめると、
「愛している」
と彼女の耳元で囁いた。
俺よりも何もかもが小さい彼女。
恋しくてたまらない。守りたくて仕方がない。
もう、君がいない世界など考えられない。
作成20091223
525字
[ fin ]