与えてくれた人

 ぽかぽかとした暖かさが、窓から入る日光によってもたらされている。
 それがあまりにも心地よいものだから、ラブたちはお昼寝の真っ盛りだ。
 ラブのベッドに座って本を読んでいた私も、この気持ちよさにやられて眠くなってきた。
 せめて区切りのいいところでと、目星をつけていたページにたどり着き、私は本を閉じた。

 ちらりとベッドの上で寝ているラブを見る。
 幸せそうな顔で眠っている彼女の口元によだれがたれている。
 私はそれを拭おうと手を伸ばす。

「ん……せつ、な」

 ふいにラブの唇からこぼれた私の名前。
 伸ばした手が途中で止まってしまう。
 夢の中まで私と一緒にいてくれているというのだろうか。
 私は嬉しくなって、ついつい口角が上がるのをやめられない。

「ラブ、ありがとう……」

 私は途中まで伸ばした手をまた伸ばし、ラブの頬に添える。
 ラブに出会えてよかった。
 ラブは私と対立し本気で殴りあって、そして私を見つめてくれた。
 私に本当の幸せを教えてくれた。
 こんなにも嬉しさで胸をいっぱいにできるのは、ラブのおかげ。
 きっかけをくれたのも、変わらせてくれたのも、すべてラブがいてくれたから。

「大好きよ、ラブ」

 私はそう呟いて、眠っているラブの額に口づけする。
 こんなにも嬉しいのに。こんなにも楽しいのに。
 それでも、これ以上の幸せを望んでしまうのは、いけないことかしら?
 でも、私を幸せに導いてくれたのはラブだから。
 私を真っ正面から見据えて、必要としてくれたのはラブだけだったから。

「……愛しているわ」

 あなたが寝ているから、聞こえないと分かっていて囁く。
 あなたに届いてほしいと願ってしまうけれど、それでも今は。
 今は両手いっぱいにもらった幸せで、我慢するわ。


作成200912
697字


[ fin ]

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