手の中の温もり

「ラブ。手、つないでいい?」

 スーパーからの帰り道。
 今日の夕ご飯になる食材を詰めた袋を片手に、私は尋ねた。

「うん? もちろんだよ」

 ラブはそう言って、私と同じように持っていた袋を反対の手に持って、空いた手で私の手を取る。
 寒さのせいか、少し冷たいラブの手。
 でも、ずっとつないでいれば温かくなることを知っているわ。

「それにしてもどうしたの、せつな?」

 私が突然手をつなぎたいと言ったのを不思議に思ったのか、つないだ手を大きく振りながらラブは聞いてきた。

「ラブの手、温かいから」

 ちょっと照れてしまったけれどそう呟く。
 するとラブは、そうかなって言ってほほ笑んだ。

「もう寒いからね。でも、私の手冷たくなかった?」

「最初だけ。今はとっても温かいわ」

 素直に伝えれば、ラブは嬉しそうに笑ってつないだ手に力を込めた。

「大切な人と手をつなぐだけで、こんなにも嬉しくなれるんだね」

「嬉しい?」

「うん。せつなの手も温かくて、目があったら笑いあえて。なんだかすっごく心の中があったかいの!」

 その言葉に驚く私。
 だって、私も同じように思っていたから。

「しあわせゲットだよ!」

「ふふ、そうね」

 手の中の温もりは小さいけれど、私の心のすべてを温かくしてくれる。
 小さいけれど、とっても大切な幸せだわ。


作成200912
527字


[ fin ]

main/top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -